第3話 それはさておき

 やあ、おいらです。


 世の中いろいろ騒がしくて、まともに関わりあったり首を突っ込んだりすると、おいらの大きな太鼓腹にギシギシに詰まっているスターマイン級の癇癪玉が爆発してしまい、平和主義者であるはずのおいら自身が第三次世界大戦の発端になってしまって地球大惨事の犯人になってしまいますので、日々『悪の権化』アジトに報告されてくる諸問題については総大将代理の狐狼将軍ネロに任せて、おいらは青龍塔の最上階にある和室で文庫化されたミステリーと歴史小説を飽きもせずに読み耽っております。


 とはいえ、ちょっとは気分転換にテレビを見たりインターネットニュースを眺めたりはするのですが、そうすると癇癪玉が破裂するまではいきませんが、少々カチンとくることがあるのです。

 それは正しい日本語を用いるべきアナウンサーが平気でウソの発音をしていることです。

 とくに、おいらが気になって仕方ないのが十歳を「じゅっさい」、十個を「じゅっこ」と読むことです。あれ、なんでそんなことで怒るの? と思った方も多いことでしょう。しかし、この発声は間違っています。お手元に漢字辞書がおありでしたら【十】という漢字の読みを調べてください。そう、「じゅっ」という発声はないのです。正しくは「じっ」なのです。十歳は「じっさい」、十個は「じっこ」と読みます。しかし、民放のアナウンサーのほとんどは間違えた読み方をしています。おいらが知る限り日本テレビの水卜アナ、外脇アナ、札幌テレビの名物アナウンサーだった木村洋二さんくらいしか正確な読み方をしていません。

 天下のNHKは多くのアナウンサーが正確な読み方をしていますが、若いアナウンサーには間違えて読んでいる方がかなりいます。嘆かわしいですな。

 恐ろしいのは大多数のアナウンサーが間違えた読み方をすると、それを視聴している国民もそれが正しいと思って間違ったものの方がスタンダードになってしまうことがあり得るというか、実際そうなっていますよね。


 そういうものはほかにもたくさんありまして、例えば「生き様」という言葉。そんなものはもともとないものでした。あるのは「死に様」なのです。ところがいつの頃からか誰もが平然と「生き様」という言葉を使い出して、ついに国語辞書に「生き様」が掲載されるようになってしまいました。『現代用語の基礎知識』ではなくて普通の国語辞書ですよ。


 あと、気になる言葉では「他人事ひとごと」の対義語で「自分事」という方って多いですよね。おいらは大嫌いです。いうなら「我が事」でしょう。「我が事のように喜ぶ」の「我が事」です。譲歩するとしても「自分の事」ではないでしょうか?


 気になる言い方というのも多いです。

「全然平気です」「全然OKです」という言い方。「全然」という言葉の後に肯定形をつけるのは間違いです。この場合は、

「全然問題ないです」

 と否定形の言葉を使わなくてはいけないのです。同じく「絶対」の後も、実は否定形です。

「絶対勝つ」ではなく「絶対負けない」なのです。


 それから、よく会話に出てきます「とんでもありません」も間違いです。正しくは「とんでもないことです」と言います。


 などということを考えていると、テレビを見ることが苦痛になってしまいますね。ですから、おいらは“おバカさんになる”ことに決めています。“鈍感力”ですね。

 世の中、バカの方がいろいろと有利でお得です。お利口ぶって細かく考えていますと胃や十二指腸に穴があくわ、メンタルをやられてたくさんのおクスリを服用することになって内臓をやられて早死にしてしまいます。お気をつけください。


 今回はこの辺で、よろしくま。

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