エピソード集
瑞希
【日常の笑い】プレゼント
私の母が、趣味で畑を耕していた頃。
ある日のこと、母がぼそりと「ステンレスの三角ホーが欲しいなぁ」とつぶやいた。
ふと気がつけば、もうすぐ母の誕生日。
母は、滅多に物を欲しがらない人なので、正直なところ、これまで誕生日プレゼントを贈ることがほとんどなかった。
そんな母が具体的な物を欲しがるなんて、これはもう渡りに船、いや、鍬に乗った亀!……って、いやいや、「鍬が欲しいって言ってるんだから、鍬をプレゼントしよう!」と、私の思考回路は光の速さで結論を出した。
我ながら、その軽さよ🤣
誕生日当日、リボンを巻いた鍬を母に渡すと、母は一瞬「鍬……?」とあっけにとられた顔をした後、「誕生日プレゼントに鍬もろたの初めてやわ😂」と、笑いながら受け取ってくれた。
使い始めてからは、「めちゃくちゃいいわ、これ!」と大絶賛。
畑を耕すのが今まで以上にはかどるらしく、やる気満々で毎日畑に出かけているようだった。
そして、ある日。
母はまた、独り言のように言った。
「(家から距離のある畑用に)もう一本あれば便利やなぁ」
母の言葉を聞いた私は、迷うことなく行動した。
母の誕生日のわずか二ヶ月後に控える「母の日」に、二本目の鍬をプレゼントすることにしたのだ。
まさかの展開に、母はもう笑いしか出なかったようで、顔をくしゃくしゃにして喜んで(?)くれた。
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