8 銀髪ツインテ陽キャ黒ギャル甘口いっぱい美少女メイド・同級生で喫茶店看板娘と個室の接客サービスで……



 白牛さんと匂わせ彼氏チャレンジの約束を交わし、忘れ物も回収できた僕はバスに乗って下校した。

 雨はまだまだ降り止む気配が無い。

 九十九坂学園から乳神邸までは、坂道を下って旧都の観光街通りを抜けていく。

 旧都の観光街通りは、晴れていれば徒歩で立ち寄る生徒も多い。

 昔ながらの古都然とした景色が続くが、観光目的で訪れる客足はやはりそこそこ程度なので、オフシーズンは地元の人たち向けに気安い料金設定になっていたりするからだ。


 が、さすがに雨が降る日は路上を歩く人影も少ない。


 傘を差して歩いている人がいても、そのつま先は真っ直ぐに帰路へと向かっていて、フラッとテキトーなお店に立ち寄るような様子はまったく無かった。

 バスの窓からそんな景色を眺めながら、僕は不意に「あ」と気がつく。


「しまった……」


 携帯端末に導入しているモバイル交通系ICカードのチャージ残高が、足りない。

 乳神邸に一番近いバス停まで乗り続けると、支払い不足になってしまう。

 本当は日曜日に宝香さんに話をして、今週分のチャージを済ませておくつもりだったのに。

 最近いろいろと気が散ることが多すぎて、すっかり失念していた。

 仕方がない。傘は持っている。

 乳神邸までの道はまだ少し遠いが、僕は降車ボタンを押して歩いて帰る決断をした。


「ツギ は 憑藻神横丁 で 止まり マス」


 無人運転バスの機械音声案内。

 それからしばらくすると、バスは例の呉服屋の前を通り過ぎて、観光街通りよりもやや狭くなった道へ入った。

 憑藻神横丁。

 ここは旧都のなかでも、より雑多な雰囲気の滲む古めかしい区画だ。

 その名の通り、憑藻神でも潜んでいそうなお店や商品ばかり並んでいる。

 十字路や丁字路も多いし、石垣の階段や入り組んだ坂道も多いので、初見ではまず迷うこと必至とされているとか。まぁ、僕も何度か迷った。


 しかし、一度道を覚えてしまえば。


「どうせ歩くなら、近道したいよね」


 バスを使わず徒歩で乳神邸へ帰る場合、この憑藻神横丁を横断してしまった方が早いのである。

 傘を差して石畳を歩き、雨粒が傘を叩く感触に「げ。ちょっと強くなってきた……?」と眉を顰めつつ。

 僕は気持ち足早に、横丁の通りを進んでいく。


 右上左上上右上左下下上右左。


「……くそぉ。相変わらず一昔前のゲームコマンドみたいな道順しやがって……」


 九十九坂は本当に坂道が多い。

 ひとつひとつは小さな坂でも、数が多いとちょっと辟易する。角度も洒落にならない急勾配だったりするし。

 雨に濡れながら、僕は気がつけば自分のコメカミから流れる雫が雨なのか汗なのか分からない状態になっていた。

 若いカラダは代謝がいい。

 今日は比較的涼やかなほうなんだけど、やっぱりこうして少しでも運動するとすぐに体温が上がってくる。

 そうこうしていると、


「あれ? ゆずたろっち?」

「? あ、明戸めいどさん」

「わっ、やっぱり! ゆずたろっちじゃーん! なになに? めずらしくない? どうしたのー?」


 雨の降るなか傘をあげて、見知った顔と声に呼び止められた。

 珍しい、というのは僕がバス下校組の一員だと知られているからだろう。


「そっか……ここ、明戸さんの家だったね」

「うん。ここ、モカの家〜」


 喫茶明戸。

 旧都にある茶屋や軽食屋さんのなかでも、上位の人気を誇る和風喫茶。

 つい先日もミク姉、マコ姉と一緒にお昼を食べるために立ち寄らせてもらったお店が、目の前にある。

 そして同時に、このお店は僕の同級生の実家でもあるのだった。


 明戸モカ。


 彼女の属性は、銀髪(シルバーアッシュ)のツインテール。緑のカラコン。おっとり感のあるタレ目。ムチムチしとしとの褐色肌。可愛い系で癒し系の顔。黒ギャル。同級生。ハムスターっぽい口元。オタクにも優しそう。着崩しすぎて大胆露出な制服。ミニスカ。実家が和風の喫茶店。元陸上部。看板娘。メイドさん。


「明戸さんも、いま帰ってきたの?」

「うん、そだよ〜? ほら見て? 結構濡れちゃった」


 明戸さんは徒歩下校だったのか、雨で濡れたブラウスがスケスケになっている。

 しかも、白牛さんと同様、胸元を大胆に開けて裾を胸下で結んだ常にヘソだしルックスタイルなので、ギャルらしい派手なデザインのピンク色豹柄ブラジャーが完全に爆弾級おっぱいの輪郭を浮き彫りにしていた。

 ミニスカートの裾を掴んで、明戸さんはギュッと握って水を絞る。

 日に焼けて黒くなった太ももが、結構際どい位置まで見えてしまった。


(──エッッッッッッッッッド……!)


「ぎゃ〜。めっちゃ出る〜。モカたちめっちゃ濡れちゃってない?」

「……そうだね。めっちゃ、濡れちゃったよ……」

「ねー? やばいよね? 雨もちょっと強くなってきたし、ゆずたろっち?」

「?」

「この感じだと、たぶん少し待てばまた落ち着きそうだしさ……ウチで雨宿りしてこっ?」

「いいの?」

「うん。個室で特別サービスしてあげる〜」


 はぁ? なんだよそれ……


「じゃあ、お言葉に甘えて……」

「はぁい♪ おひとりさま、ごあんな〜い♡」


 そうして流れるように明戸さんに手を引かれて、僕は雨足が弱まるまでの間、喫茶明戸で時間を過ごすことになった。





 喫茶明戸では、白牛牧場の乳牛からとれた新鮮なミルクが使われている。

 そのため、店内に入ると最初に目につくのは白牛さん家の牧場写真が飾られたメニュー看板だ。

 外観はザ・和風といった感じで、横丁全体の景観と変わり映えしないが、内装は和風モダンな感じでオシャレに整えられている。

 提供されるサービスも洋の東西を問わない。

 主な飲み物はコーヒー、紅茶、緑茶の三系統に分類され、そこから某有名チェーン店じみた甘味系メニューも豊富である。

 僕は明戸さんに案内されて、奥の個室で腰を下ろした。


「この部屋、カップル向けだ……」


 俗に言う、カップルシートというヤツだろうか。

 こじんまりとした部屋の真ん中には、少し細めの長方形テーブルがあり、向かい合って座れるようにソファが置かれている。

 しかしこのソファ、どうも大きさが妙な感じで、一人で座るには広く二人で座るには少し狭い。

 恐らくは1.5人掛けくらいのサイズで設計されていると思われた。

 薄暗いライトの下で、カップルが静かにうっとりイチャイチャするには、まさに打ってつけだろう。

 喫茶明戸には何度か来店しているけど、こんな席があるのは初めて知った。最近できたのだろうか?


「ゆずたろっち、お待たせ〜」

「おお」


 そうこうしていると、明戸さんが個室に現れる。

 途中までバスを使って下校中だった僕と違い、明戸さんはすっかり雨で濡れてしまっていたため、お店のなかに入るや否や、「ちょっと着替えてくる〜」と言われて待っていたのだ。

 再び姿を現した明戸さんは、メイド服だった。

 だが、ただのメイド服じゃない。


「うおデッ──カワイイね」

「? でしょー? 最近モカ、こーゆーのにハマっちゃったんだ〜」

「萌え萌え系?」

「うん! クラシカルなのもいいけど、やっぱミニスカとかフリルとかあった方が、超カワイイよね〜」

「でも、少し露出が多くない……?」

「そ? んー、モカはいつもと変わらないと思うな〜」


 そう言ってクルリと回って見せながら、明戸さんはヒラリと舞うミニスカを特に押さえつけたりせず、一周回ってポーズを決めた。

 腕も肩も脚も上乳も、ほとんど丸出しキャミソールワンピみたいなメイド服で。

 あしらわれたレースのフリルのデザインが、爆弾おっぱいの曲線をハート型っぽく強調しているにもかかわらず。

 膝に手を着いて、前屈みになってこちらの顔を覗き込むような体勢で、


「ご主人様は、お気に召しませんか〜?」


 谷間が、深い。


「──まさか。明戸さんにとても似合ってると思うよ」

「ふふ〜ん♪ ゆずたろっち、正直だねっ」

「メイド喫茶みたいな接客も、やるようになったの?」

「ううん? 今のはノリ? 気分的な? ゆずたろっちのこと、なんとなくそう呼びたくなっただけ〜」

「へぇ……」


 ノリで男のことをご主人様なんて呼ぶだなんて、とんでもない女の子だな……僕の指先はそのうち内出血するんじゃないか?


「それはさておきぃ……ねぇゆずたろっち?」

「ん?」

「雨宿りついでに、モカのお願い聞いてくれない?」

「いいよ」

「……あ〜、いけないんだ〜」

「え?」

「モカ、まだお願いの内容なにも言ってないのに、ゆずたろっちってばいつもそうだよね〜?」

「ごめん。軽い感じに見えたかな」

「ううん。でも、そんなんじゃいつか勘違いされちゃうかもよ? ってモカは思いまーす」

「勘違いされたい、って僕が思ってるとしたら?」

「……わーお」


 明戸さんは目線を逸らして、少しだけキョドった感じになった。

 が、コホンと咳払いを挟むと、今のやりとりは無かったことになったのか、


「モカね? ゆずたろっちに練習に付き合って欲しいんだ〜」

「練習?」

「そ! モカ最近、ラテアートの練習してるんだけど、どうしても上手く絵が描けなくて……」

「僕もラテアートはやったことがないけど……」

「あ、それは大丈夫。ゆずたろっちには、モカが作ったカフェラテを飲む係をやってもらいたいの!」

「え、飲むだけ?」

「そだよ? モカのまわり、もう誰も飲んでくれなくなっちゃったからさ……お願い!」


 明戸さんは両手を合わせて、「おねがいっおねがいっゆずたろっち!」と頼み込んでくる。ゆさっ♡ ゆさっ♡ とおっぱいを揺らしながら。

 黒ギャル全開な見た目にギャップを感じてしまうが、こう見えて明戸さんは喫茶明戸の看板娘でもある。

 放課後や土日は手伝いとしてウェイトレスをやっているし、ラテアートもきっとお店のことを思ってなのだろう。


「そういうことなら、喜んで引き受けるよ」

「ホント!? ゆずたろっちマジありがと〜!」

「でもいいの? 逆にお金とかさ」

「いいのいいの! 練習だもん。お客さんに出せるレベルじゃないから、お金なんか取る方が申し訳ないし!」

「そっか……」


 しかし、いくら練習品とはいえ材料費はタダじゃない。

 何の遠慮もなくカフェラテをいただくのも気が引ける。

 モバイルICにお金は入っていないけど、財布のなかには現金があったはずだ。


(あれ、待てよ?)


 この現金を使えば、僕はバスを降りる必要なかったんじゃないか?

 今になって気がついてしまった。


(まあ、今日はそういう日か……)


 明戸さんがカウンターに引っ込んでいった隙を見計らい、近くにいた店員さんに注文を頼む。

 喫茶明戸で一番お高めのメニューは、オムカツカレー。

 夕飯前に予定外のカロリーはパーソナルトレーナーに小言をもらうかもしれないけれど、今の僕にはオヤツも同然に違いない。


 しばらく待っていると、先にオムカツカレーが運ばれて来た。


 どうやら明戸さんは、一度に何杯か一気に練習しているようだ。

 早速オムカツカレーにスプーンを突き刺しながら、大人しく飲み物が運ばれてくるのを待つ。

 すると、それから十分もかからない頃合いに、


「お、お待たせしました〜」

「お。来たね」

「ゆずたろっち、オムカツカレー頼んだの?」

「お腹減ってたからね」

「……そっか。ありがと! じゃ、いよいよモカのラテアートだけど……ヘタだからって笑わないでよ〜?」

「うん。笑わないよ」


 明戸さんが一生懸命がんばって作ったラテアートだ。

 どんなにヘタでも、絶対に笑うものか。

 それに多少絵が歪んでいたりして不格好でも、僕にはラテアートのやり方なんて分からない。

 素人が偉そうに口を出すのは間違っている。

 明戸さんがお盆から五杯のラテをテーブルに並べるのを、僕は真剣な気持ちで待ち構えた。


 チンコだった。


「グッ──う、うん?」

「や、やっぱりヘタだよね……」

「いや、ヘタじゃないよ。でも一応確認なんだけど、これってたぶん葉っぱでいいんだよね……?」


 五杯とも、ラテアートでよくある葉っぱを作ろうとした痕跡はある。

 けど、なんというか葉っぱの一枚一枚の隙間がすごく歪んでしまっていて、全体的なカタチも男性器的な輪郭になっていて……


(ヤバい。めっちゃ最悪なんだけど、どう見ても皮のシワ模様まで描かれたチンコにしか見えない……!)


 それも裏側から眺めたやつ。

 気になる方は、是非とも〝ラテアート チンコ〟で検索しよう。最悪だな僕!

 噎せかけたオムカツカレーを、すんでのところで飲み込み直した。


「モカもね、不思議なんだ……どうしてモカがやると、このカタチになっちゃうんだろ……ゆずたろっち分かる?」

「分からない。でも、惜しいところまではキてると思う!」

「ホント? じゃあ、飲んでみてくれる?」

「もちろん!」


 僕、これからチンコ飲むのか。

 字面だけにすると最悪情報災害だけど、なぁに味までチンコなワケじゃない。

 一杯目に口をつける。


「あ、ちなみにね? みくるん家のウシさんのミルクと、モカ特製ブレンドでインドのすっごく甘いお菓子とお砂糖と練乳とチョコシロップとかもたっぷりになってま〜す! ど? おいし?」

「うん。味は最高に美味しいよ」


(アッッッッッッッッッッッマッッ!!)


 ゲロ甘だった。

 具体的にどれくらいゲロ甘かと言えば、脳裏に思わず濃厚豚骨ラーメンがよぎるくらい。

 いや、それ以上の ハ イ カ ロ リー !

 味蕾を通じて、甘さという名の暴力が脳髄を撹拌する。

 否、あまりの甘さにブルリと首を振ってしまっているのは、僕の肉体的反応か。

 正直に言って、もう胸焼けしてる。前世以来だ。


「ゆずたろっち……! そんなっ、震えるほど美味しかったの!?」

「センスを感じる。将来性しかない」

「〜〜! 嬉しい! モカ、モカの作ったカフェラテ、一生ゆずたろっちに飲んで欲しいな〜!」


 実はあと十杯作ってあるの! 待っててね! と、明戸さんは再びカウンターに向かっていった。

 セリフと表情はすごく可愛かった。僕も明戸さんみたいな娘に一生コーヒー淹れてもらいたい。ブラックで。

 なのにいかんね。まだ一杯目の一口目なのに、オカワリが来るぞ?

 テーブルの空きが恨めしい。このテーブルなんでこんなに広いの?

 オムカツカレーの残量は、あと半分。

 事ここに至り、まさかコイツが僕の命綱になるなんてね……!


(一杯飲んでオムカツカレーを一口の半分ずつ……! この計算なら、ギリでイけるはずだ……!)


 カラダ、保ってくれよ! ゲロ甘チンコ(最悪精神汚染)、十五杯だ……!


「はぁいお待たせしました〜! こちら、『黒ギャルメイドのミルクたっぷりラテアートスペシャル』で〜す♡」

「オムカツカレーもオカワリください」

「わっ、さすが男の子! ゆずたろっち、カッコイイ〜! ねねっ? スプーン貸して?」

「うん」


 明戸さんは僕からスプーンを受け取ると、それを使ってオムカツカレーを掬った。

 おおぅ。かなり多めに取られちゃった……。

 狭い1.5人掛けソファの隣に入り込んで、明戸さんの太腿と横腹と横乳と左肩が、ぴったり♡ しっとり♡ 僕の右半身にくっつく。やらけえ。えろい。僕はギャルによわい。


「はいっ、あ〜ん♡」

「あーんっ! モグモグ」

「ゆずたろっちカワイイ〜♡ もっかいシてあげるね〜? はい、あ〜ん♡」

「あー」

「アッ! ゴメン!」


 と、そこで、明戸さんがスプーンからオムカツカレーをちょっぴり零してしまった。

 幸いにも、零れたのはオムカツカレーのオム部分でカレールーではない。

 ので、大惨事ではなさそうだったが、範囲が少し広かった。

 ちょうど僕の鳩尾当たりと、左の太腿の上、そしてズボンの裾の上あたりにオムの欠片が散らばっている。

 なお、被害の大きさは裾の方から順に大きい。

 おっぱいに気が取られて分からなかったが、恐らく鳩尾→太腿→裾という流れでバウンドしたのかもしれない。

 明戸さんは慌てた様子で、こちらがあっという間もなくナプキンを手にテーブル下へ潜り込んだ。


「ごめ〜ん、ゆずたろっち! すぐに拭くねっ」

「洗濯すれば大丈夫そうだし、このくらい自分で拭くよ」

「そーゆーワケにはいかないし! せっかくウチに来てくれたのに、粗相があったなんてモカが許せないもんっ」

「いやでも、そこまで真剣に拭いてもらうほどの汚れじゃ……」

「だ〜めっ! シミ汚れって早いうちに処置しとかないと、大変なんだよ〜?」


 明戸さんは裾の汚れを丁寧に拭き取ると、続いて太腿の上の汚れを拭くため、テーブル下からそのままポンポンとオムを拭き取っていく。


「あっ、危ないよ」

「え? あ……ありがと……」


 テーブルに頭をぶつけそうになった明戸さんを、間に手のひらを挟んで庇う。


「あはは……ゆずたろっちってホントにカッコイイね? よいしょっとっ」

「っ、明戸さん?」

「ごめんね? ちょっと失礼しま〜す。お腹のうえも、すぐ拭いてあげるから〜」


 そう言うと、明戸さんは僕の両足のあいだに身を滑り込ませて、テーブル下からひょっこり顔を出した。

 マジかよ。

 黒ギャルメイドが完全に股間の真ん前だ。

 床の上で膝立ちになって、僕の右の太腿に左手を添えて、少し前のめりになるような体勢で──あ、乗った。どたぷん♡ おっぱいが下腹部の上だ。ポヨン♡ バイン♡ ふにょん♡


 なんて圧迫面積! 谷間に手刀を突っ込みたい!


 ──さぁ、本 気 で 舌 を 噛 め !


(柊木柚子太郎──ッ!!)


「よいしょっ、んっ、キツ……この体勢、ちょっとムリがあったかも〜。ちっちゃい時は、よくお姉とこうやってっ、隠れんぼ、とかしたんだけどな〜」

「無理はしなくていいよ?」

「うん。でも大丈夫そう! はいっ、綺麗になったよ? 帰ったら念のため、洗濯はしてね?」

「ありがとう。あ、頭気をつけてね」

「は〜い♡」


 褐色日焼けおっぱいが、ずりゅぅんっ♡ とズリ落ちていった。


(明戸さん……キミはもう黒ギャルメイドじゃないよ……)


 黒ギャルおっぱいメイドだよ……

 勃起を堪えるあまり、肩や腕の筋肉がバキバキ音を立てる錯覚までする。

 そんな僕に、明戸さんはテーブルから出てきて再びソファの隣に座ると、


「わっ、すっごい♡ 手の甲、血管バキバキじゃ〜ん♡ 男の子って感じ〜♡ もしかして、やっぱり怒ってる?」

「怒る? 僕が? どうして?」

「だって、モカってばドジっ娘メイドだったから〜、ご主人様は、オ・シ・オ・キ♡ したくなっちゃったかな〜? って♡」


 耳元へ、唇を寄せて明戸さんは囁く。


「ねぇ、ご主人様? モカのこ・こ♡ そんなにガッツリ見るくらいなら……今なら誰も見てませんし、おっぱい♡ 召し上がってくれてもいいんですよ♡」

「!!」

「あは! な〜んちゃって!」


 明戸さんは真っ赤になって、「さっきのお返し〜♡」と笑った。

 僕は卓上のメニューをすべて平らげ、それからしばらくして帰路についた。乳神邸での夕食は、何を食べても甘い味しかしなかった。


 ああ、今年の文化祭はメイド喫茶で決定だ。


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