ヒマワリの影

【資料151:ジャーナリスト・相沢航の取材メモ(音声入力)】

日付: 2076年4月5日


件名: 沈黙と潜伏


自宅のポストにアサガオの押し花が投函されて以来、私は表向きの調査活動を全て停止した。アパートを引き払い、通信機器を交換し、今は都内の安価なマンスリーマンションを転々としている。彼ら――「アサガオ」の監視網は、私が思うよりずっと広く、深い。物理的な尾行だけではない。私のデジタル・フットプリントは、彼らにとって丸裸同然なのだろう。


だが、私は諦めたわけではない。光が強ければ、影もまた濃くなる。私が『アサガオ』の存在を暴こうとしたことで、水面下で何かが動き始めた。数週間前、暗号化された通信回線を通じて、一人の人物が接触してきた。彼は自らを『X』と名乗り、かつてプロジェクトの中枢にいたと語った。これは、その『X』から提供された、恐るべき記録の断片である。

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