ソーダ水新宿三角ビル広場

ここ空いてますか

スマホから上目遣いで声の方に視線だけむける

どうぞ、と手振りで答える


小さな男の子だ

ちょっと気になりながらも

視線をスマホに落とす


でもスマホ画面なんて眼にはいっていない

頭の中は昨夜の出来事

もう何回めだろう、昨日のシーンを反芻する


ふー、思わずため息


そういえば、、、

ふと顔をあげる


広場の中のベンチはいつの間にか満席で、

家族連れやカップルが

休日の朝を満喫している


男の子と視線があう

少し気まずい


なんであんなことを言ってしまったのか

傷つける気はなかった


いや、あったのかもしれない


再び無限ループの思念の中に閉じこもる


目の前の男の子が手を降り出した

家族が迎えに来たのかもしれない


そろそろ立ち退くか、、、


ユー君、ごめんごめん、遅くなって


背後から若い女性の声


両手にはクリームソーダパフェ、

足の指にはカラーネイル


どうぞ、と、手振りで自分の椅子を差し出し

何も言わずに立ち上がる


あ、すみません、ありがとうございます

女性のお辞儀

長いひっつめ髪


三角広場を出る間際に振り返ると

女性はひっつめ髪を解いて、その長い髪が

さらさらと光って見えた。


あ、スマホ忘れてきた、、、


と思ったら

長い光る髪の女性も振り返り

スマホを持って何かいいかけている


日本語がわからないので

私は日本人ほど上手ではないが、とりあえずお辞儀をして

妙にハッピーな気分になって

もといたベンチに向かって歩き出した



(終わりです)













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