第12話「ネロスの愛」
恋がしたい。
私を愛して欲しい。
私だけを見てほしい。
それが魔恋皇帝ネロス様の口癖だ。
あの人は常に恋とか愛に飢えてる。
あの人の危険なところは、自分を愛してくれる存在なら人間、モンスター、あるいはそれ以外すらも許容する危険性を持ってる。
ワタシはサキュバスのニリス。
ネロス様がなぜ愛を欲して、そしてなぜワタシを愛してくれないのか。
でも良いさ、ネロス様はワタシ達の希望の光。
元々は名もない無名のモンスターだったネロス様が人間達に
あの人は優しすぎる。他者には優しいが、自分には優しくない。
いくら他人に尽くしても誰も自分を愛してくれないと理解してても
それがネロス様の病気『狂愛』。
愛して欲しいと言うくせに周囲に壁を作ってる変な人。
聖女ならネロス様の愛を満たす事ができると魔女が言ってたし、我々モンスターが異世界に侵略してるのもネロス様は何も知らない。
バレたら怒られるのは分かってるが、それでも好きじゃない相手の為に必死になって自己破壊に走るあの人を止めたいんだ。
ネロス様はワタシ達を愛してないのは分かってるが、でも勇気を振り絞って人間達に立ち向かったあの姿は、今でもワタシ達の希望の光なんだ。
❤︎
恋……。
ワタシには分からない感情。ワタシはサキュバス、精気を吸う危険なモンスター。
ネロス様のように愛を欲してるのか分からないけど、それでも恋というものを味わってみたい気持ちはあるか。
ワタシが誰も居ない街を一人で歩いていると、一人のカウボーイみたいな魔法少女が現れた。
「四天王の一人ニリスだな」
「アナタは?」
「狙撃系魔法少女キリだ。悪いが容赦はしない」
「そう、アナタもワタシを愛してくれないか」
「? 何の話だ?」
「気にしないで、ワタシの憧れの人の口癖だから。じゃあ始めましょうか、醜い醜いどうでも良い戦いを!」
本当、どうでも良いのかも。
ワタシもネロス様の愛に感染してるだけ。
ワタシは、誰も好きにならないし、誰もワタシを愛してくれない。
だから、眼前の魔法少女を叩き潰す。
こんなみっともない姿をネロス様に見られたら笑われるだろうな。
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