(股間が)光源氏
キリン
「第一話」金玉キラキラ誕生日
宵闇、曇天。光なき真夜中に、明かりの灯る部屋ありけり。
「ううっ……ううううんっっ!!!」
その美しき女、桐壺の更衣と呼ばれけり。低き身分にありながら、時の帝たる桐壺帝の寵愛を一身に受け、その証として子を授かり、今まさにそれを産み落とそうとしているのである。
「頑張ってくだされ桐壺様! ほら、頭が出てきましたよ!」
白髪の産婆、声を荒げたり。みるみるうちに股から出てくる出てくる赤子の頭、胴。あああと少しで世に産声をあげるであろう。
ぬるぬる、ぬるぬる。ずるっ。
「生まれました! 元気な男の子にございます! さぁさぁ奥様、お抱きになって!」
「ふぅ……ふぅ、私の、私の赤ちゃん……!」
桐壺の更衣、へその緒もまだ切らぬうちに赤子を抱きけり。赤子、生まれたばかりにもかかわらず形も色も美しく、その容貌まさに天与のものなり。
開ッ、眼ッ。
「まぁ、もう……目が開くのかしら」
「まぁ、まだ見えていないと思いますが……ささ、早いところへその緒を切ってしまいましょう」
産婆、鋏を持ちて赤子に近寄りけり。
しかし赤子、既にその目は像を結んでいた。無垢な瞳、この世に生を受けて初めて目に映るは、美しき母の姿なり。
初めて己の母の姿を見たその赤子は、思わず喉を震わせ産声をあげにけり。──しかし其れよりも早く眩く、太陽と見紛うほどの極光が部屋の中を照らしけり。
「きゃあっ!?」
「まぶしっ……なん、ですかっこの光!?」
乳母、桐壷。二人驚きて、桐壷、その光に目を眩ませながら、其れがなんなのかをゆっくりじっくりと捉えたり。──して、その正体に母はひどく驚きたり。
(この子、光って……えっ、股間!?)
輝く一物、其れ即ち金玉を超えし黄金一物なり! 照り輝くその眩さは、まさしく太陽! なんとこの赤子は、股間がものすごく光り輝いていたのである!!!
「す、すごい……この子は神の子です! きっと、神の生まれ変わりですよ!」
「え、ええ……そうかしら? そうかも……」
その時、言葉もおぼつかぬ赤子は……その生まれ持った雄としての本能を以てこう、産声を上げながら心の内にて叫びけり。
「おんぎゃああああおぎゃっおぎゃあああああ(うぉぉおおおなんだこの超絶ボイン美人ッ!!!!コイツが母親ってマジかよ人生勝ち組じゃねぇかウッハァ早くその乳をベロベロしゃぶりてぇエエエエえ!!!!)」
後に、この光り輝く赤子を目にした桐壺帝は、こうおっしゃったんだとか。
──この赤子は、”源の姓を持つ人々の中で最も光り輝く君”として……こう、名付けよう。
──”光源氏”と。
これが、現代風にいうところの”マザコン”&”ロリコン”&”不倫中毒”&Etc……といった、コンプライアンスに対して全裸で侮辱の舞いを踊るほどの恥辱を与えた、日本文学史において最低最悪のカス雅主人公の爆誕……それが、初めて光り輝いた瞬間であった。
連載なんてするわけねぇだろ馬鹿じゃねぇの?
やめてよ? ねぇ
やめてよ……
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