第四十六話 『追撃のキメラと、第二の器官《分体》』──隠された核を貫け!
城から出たおれたちは元々の合流地点である場所に馬をはしらせた。 帝都はギガルトの花火で混乱している。
「馬を捨てよう。 他の人たちが使っていないここで馬は目立つ」
「そうだな。 人に紛れつつ、あの細い路地にはいりぬけ帝都外にでる。 外の森におれの部下が待っているはず」
馬を捨て人混みに紛れる。 兵士たちがおれたちを探しているようだ。
なんとか細い路地を進み、そとにでることができた。
「一応ワイズが対策してたおかげで、なんとかなったな」
「ああ、帝国とは資金源や諜報能力がちがうからな。 俺たちの行動が発覚していることも想定しておいてよかった」
「ふふっ、我の力をみたか、グアレナの奴、焦っておったわ」
「さすがディムリアちゃん!」
ギガルトがディムリアをほめる。
「まあの、まあの。 褒め称えるがよい。 あとシュンはわれを見捨てようとしたこと忘れておらんからな」
そうディムリアはこちらをにらんだ。
「あのときは、ああいうしかないだろ」
(まあ半分本気だったけど...... しかし、あのグアレナなぜディムリアを欲しがる。 面倒なだけなやつなのに、やはり魔王であることをしっているのか?)
「それで禁忌の書はどうします?」
そうセリエスがいう。
「ここで処分したいが今はとまれん。 国に戻ってから処分だ」
「そうですわ。 このまま奴らに追い付かれる可能性はあるのですわ」
合流地点の森に馬車がまっていてそれに乗りすすんだ。
「しかし、おれたちの行動がばれているなら、トンネルも発覚してるんじゃないか」
「......ああ、その可能性はあるな。 だからもうひとつをつかう」
「もうひとつあったんですね!」
セリエスの言葉にワイズがうなづく。
「そっちもばれてる可能性もあるですわ」
「いや、そっちはまだ完全につながっていない。 だから多分大丈夫だ」
「つまりそこをこっちからつなげるのか」
「ああ、かなり掘り進めていた。 もう少しだったがただ岩盤があつくあきらめた。 そこを吹き飛ばせばつながる。 もう少しでつくあそこだ」
目の前に岩山が見えてきた。
「間違いない。 あそこだ」
「ディムリアふきとばせるか」
「我を誰だと思っておる! 一発じゃ!」
「......何かきますわ!」
ミリアの声で後ろをみると、遠くに三体のキメラがおってきていた。
「くそっ! もう少しだというのに! おれとセリエス、ワイズで降りてたたかう! ディムリアとギガルト、ミリアは岩の破壊をたのむ」
おれたちは馬車から降りて迎え撃つ。
「奴らは胸の宝石が弱点だ! 一体はおれがやる! もう二体をたのむ!」
「おお!!」
「はい!!」
キメラは目の前まできた。 おれは剣を投げる。
(こいつの対処は!)
地面から腕を生やして胸を剣でさす。
「ギャウッ、グガァァアアア!!!」
剣がつきささるもキメラは向かってくる。
「くそっ、宝石がない!! 対策されてる! ふたりとも胸は効かないぞ!」
「だが、魔力を供給する必要があるのはかわらないはずだ!」
「他の場所にあるはずですね!!」
おれは二本の剣で迎え撃つ。 キメラの噛みついてくる牙を剣でうけとめる。
(それなら、頭を内部に骨を! いや頭にあるかわからん...... それなら!)
「第二の
キメラはおれの剣を弾き、噛みつこうとしてくる。
「ガァァ!! ギャアッ!」
キメラの身体から血がふきだす。 いくつかの場所を後ろからきりつける。
ガキッ
固いものにあたった。
「そこか!!」
パキンッ!!
落ちた剣がうきキメラの背中の宝石を貫く。
「よし! ふたりとも、そのまま押さえてろ!」
二人が押さえていたキメラをおれは次々と倒した。
「ふぅ、危なかった...... 助かったぞ」
「ええ、ですが見えない腕でどうやって、こんな攻撃を?」
「ああ、ひとつの器官じゃなく。 おれ自身をつくりだすんだ」
「そんなことが出きるのか!」
「さすがですシュンさん!」
「......とはいえ、かなりつかれるし、全身全てじゃないがな」
ドオオオン!!
衝撃がとどいた。 ミリアがこちらに飛んできた。
「やりましたですわ! 通路があるですわ! こちらに早く!」
「よし、みんないくぞ!」
おれたちは見つかった通路を通りプレマスへと帰りついた。
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