第二十八話 『女王奪還成功! だが追撃と陰謀が迫る』──そして現れる、反撃の狼煙。

「そうか...... ハルメシアさまが動いてくださるのか」 


 そうルードリヒは噛み締めるようにいう。 おれは戻りみんなにはなしをしていた。


「だが女王が向こうの手にあるんじゃ手がだせないから、なんとか保護してくれってさ」


「ふむ、そうじゃな。 女王が向こうならばこちらに大義がない。 ただの反逆者になるであろうな」


「そうですわ。 でもこちらもシュンさんがいない間に動いたですわ」


「本当か。 よく監視つきで動けたな」


「それは我の力じゃ」


 そうディムリアは胸を張る。


「なんだ? アホそうだから監視も見逃したのか?」


「誰がアホそうじゃ! 我も魔法を思い出したのじゃ。 よくみておれ。 【盲影】《シャドウ》」


 ディムリアの姿が部屋に溶け込むようにきえた。


「消えた! 消える魔法か!」


「厳密には人の死角になる魔法じゃ、存在はしているが認識ができぬ」


 そういいながら姿をみせた。


「それなら女王をつれだせるな!」


「いや、そうでもない...... この魔法は我しか消せぬ......」


「えっ? なんだ使えないな」


「使えぬとはなんだ!!」


「まあ、まあ、ディムリアどののお陰で追放された元騎士団と連絡が取れたのだ」


「そうじゃ! もっともめろ! たたえろ! ただただあまやかせ!」 


「うるさいな...... それでどうやる」


 おれたちは女王奪還作戦をつめた。



「おいおい、警備が増えてるぞ!」


 城の警備が厳重になっている。


「ああ、ハルメシアさまが動くことを察知したようだな。 このままだと反逆者として軍をだすことになる」


 そうルードリヒがいう。


(奴らはカイザーゴーレムがまだいるとおもい、あの山を越えてない。 ということは連絡がはいってはいない。 おそらく刺客からの連絡がないから動いたってことか......)


「なら、まだ俺たちのことは警戒程度だな。 よしいこう」


 おれたちは堂々と城へとむかう。


「何のようですか」


 そういぶかしげに兵士たちが城の前でとめた。


「女王から呼ばれて報告に参ったのだ。 通してくれ」


「ルードリヒさま、私どもはなにもきいておりませぬ」


「いいのか? 指定災害モンスターを倒したおれたちを邪険にすると大臣からお叱りをうけるぞ」


「い、いえ、ではどうぞ」


 兵士たちが顔を見合い、おれたちはなんとか城へとはいった。 そして女王の部屋へと向かう。



「女王!!」


 部屋へと大臣と兵士たちがはいってきた。


「何事です。 グレンベル」


 そう女王がいう。


「い、いえ、ただ連絡のないものがはいったとの報告を受けて......」


「連絡...... 私がシュンさまたちにお願いをしておいたのです。 その報告にまいって何が問題なのです」


「いえ、そうでしたか。 それでお願いとは......」


「ええ、カイザーゴーレムを討伐していただけないかというお願いです」


「なっ...... サタリー山の、指定災害モンスターですか!」


「そうです。 それを倒されたとのこと。 その報告をシュンさまから聞いていたのです」


「あのモンスターを倒した......」


「いまはお話しの途中失礼です。 下がりなさい」


「は、はっ!」


 大臣は憮然とした顔で部屋を去る。


 おれたちは部屋をでて帰ろうとすると、大臣がまっていた。


「先程は失礼した。 そのような報告をうけてなかったものでな」


 そう大臣は笑顔でこちらをみている。


「ええ、確認はとれましたか?」


「いやまだだ。 すぐに連絡が取れよう」


「わかりました。 また確認がとれしだいお呼びください」 


 そう答えて怪訝な顔の大臣を背におれたちは城をあとにした。 


 城からでると、おいてあった馬車にのり、おれたちは町を抜けた。


「たすかりました」


 そうディムリアの服をきた女王がそういった。


「ディムリア、もういいぞ」


「ふむ、この服はなかなか窮屈じゃ」

 

 そう女王の服をきたディムリアが姿をあらわす。 


 ディムリアに姿を消させて女王をディムリアとしてつれてきていた。


「よし、早く離れよう」



 町からでて森にはいったとき、後ろから多くの馬車が走ってくる。


「ついてきたな」


「部屋にいないことがばれたようですわ」


「よし、ぶつけられたら危険だ。 降りよう。 女王はルードリヒの後ろに」


 おれたちは馬車をとめた。


 追いかけてきた馬車から兵士たちと大臣が降りてきた。


「これはどういうことだ? ルードリヒ」


「ひかえられよグレンベル大臣。女王の御前だ」


「騎士風情が...... このようなことをしてすむと思っておるのか」


「女王が城をでるのになんの問題があるんだ」


「......貴様、まあよい。 ちょうどいい、お前たちは女王誘拐の罪でここで死ぬがよい」


「その上殺害の罪じゃろう」


「......いけ!!」


 兵士たちが剣を抜きせまる。


「やっと、本性を現したなグレンベル大臣」


「き、貴様は......」


 木々からハルメシアさまとその兵士、そして元騎士団員たちがあらわれた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る