第15話:寒さ対策は甘かった!花巻先輩のプロの視点

【ひよりのSNS】

車中泊の夜、マジで凍え死ぬかと思った🥶🥶🥶

寒さ対策したはずなのに、全然ダメだった件…😭

花巻先輩からまさかのダメ出し?!💦

#車中泊の現実 #寒さ対策 #初心者あるある

#凍死寸前 #花巻先輩 #プロの視点 #学びの多い毎日


道の駅での初ソロ車中泊の夜。

まさかのタヌキとの遭遇を経て、

私は、なんだか強くなれた気がした。

土屋先輩の的確なアドバイスもあって、

物音への恐怖は乗り越えられた。

夜空の星が見えなかったのは残念だったけど、

それもこれも、車中泊の醍醐味。

そう思えるようになった。

そして、私は今度こそ、

ぐっすりと眠りについた……はずだった。

しかし、それは、甘い認識だった。

夜中に、体中の震えで目が覚めた。

ブルブルと体が震える。

寝袋にくるまっているのに、

足元からじわじわと冷気が上がってくる。

手足の感覚が、だんだん麻痺していくようだ。

吐く息が、白い。

でり丸。の窓には、

水滴がびっしり。

結露している。

車内は、冷蔵庫の中にいるみたいに冷え切っていた。

まさか、こんなに寒いなんて。

家を出る前は、そこまで冷え込む予報じゃなかったし、

自分なりに防寒対策はしたつもりだった。

毛布を何枚か重ねて、

湯たんぽも使ってたのに。

でも、全然、足りてなかった。


体が芯から冷え切って、

もう一度寝袋に潜り込もうとしても、

震えが止まらない。

意識が、遠のいていくような感覚。

このままじゃ、マジで凍え死ぬかも。

SNSで先輩たちに助けを求めようにも、

指先が冷たすぎて、うまくスマホが操作できない。

震える手で、なんとかスマホを握りしめ、

時間を確認する。

午前4時。

夜明けまで、まだ時間がある。

私は、必死で体を丸め、

ブランケットの中に顔をうずめた。

でり丸。のシートの冷たさが、

背中から伝わってくる。

心細さと、後悔の念が、

私の心を支配する。

なんで、もっとちゃんと

準備してこなかったんだろう。

そんなことばかり考えてしまう。

意識が朦朧とする中で、

私は、ただひたすらに、

朝が来るのを待った。

長い、長い、夜だった。


ようやく、空が白み始めた頃。

私は、かろうじて寝袋から這い出した。

体中がガチガチに

凍りついてるみたいで、

関節を動かすたびに、

ミシミシと音がするような気がした。

手足の感覚が、まだ鈍い。

まずは、温かい飲み物を飲もう。

そう思って、ポータブル電源と

電気ケトルを取り出した。

震える手で、水を注ぎ、スイッチを入れる。

ケトルから立ち上る湯気が、

冷え切った車内に、

かすかな温かさをもたらしてくれる。

温かいコーヒーを淹れ、

震える手でカップを握る。

カップから伝わる温かさが、

私の指先から、体中にじわりと広がる。

生き返るって、こういうことなんだな。

SNSで、

昨夜の出来事を投稿しよう。

そう思って、スマホを開いた。

凍え切った指先で、

なんとか文字を打ち込む。

「車中泊の夜、マジで凍え死ぬかと思った🥶🥶🥶」

「寒さ対策したはずなのに、全然ダメだった件…😭」

そんなコメントと共に、

霜が降りた窓の写真を添えて、投稿ボタンを押した。

まさか、2回連続で

SNSで失敗談を投稿することになるなんて。

正直、ちょっと恥ずかしかったけど、

もう、完璧な自分を演じるのはやめたんだ。

これが、今の私。

そう、割り切れるようになった。


投稿して、数分後。

私のスマホが、ピコン、と鳴った。

SNSの通知だ。

また、コメントが来たのかな。

恐る恐る画面を見ると、

そこに表示されていたのは、

花巻先輩からのメッセージだった。

花巻先輩は、この会社の

「車中泊向け内装・収納用品」の

開発・設計担当。

彼女の愛車はスズキ・エブリイだけど、

自分でウッド調にDIYしてて、

まるでカフェみたいになってる。

機能性と美しさを両立させてる感じが、

いかにも花巻先輩らしい。

社内で、いつも黙々と作業してるから、

まさか自分で車の中を

あんなに改造してるなんて、

思ってもみなかった。

でも、その完成度には、

マジで感動する。

彼女のデスクには、いつも

ミリ単位で記された設計図が広げられている。

私もいつか、花巻先輩みたいに、

自分で何か作れたらいいな。

そう思うと、ちょっとワクワクする。


花巻先輩からのメッセージは、

私のSNS投稿に対する、

辛口なコメントだった。

「寒さ対策は甘いな。

断熱材は使ったか?窓の対策は?」

簡潔な言葉の中に、

プロの厳しさが込められている。

花巻先輩は、ひよりの投稿写真から、

でり丸。の窓にびっしりついた結露を見て、

断熱不足だと見抜いたんだろう。

「車中泊向け内装・収納用品」の

開発・設計担当である花巻先輩の専門知識が、

そこには凝縮されている。

彼女は続けて、

自身のDIY車内の写真や、

担当するカテゴリの素材メーカーの

参考資料をSNSで送ってくれた。

SNSで送られてきた画像は、

どれもこれも、隙間なく断熱材が貼られ、

窓には専用の目隠しが

ぴったりとフィットしている。

見た目はシンプルだけど、

機能性は完璧。

これが、プロの仕事なんだ。

私の適当な毛布重ねて湯たんぽ、とは

レベルが違いすぎる。


「車中泊は、見た目だけじゃない。

快適な睡眠は、命に関わる。」

花巻先輩からのメッセージには、

そんな言葉も添えられていた。

彼女の言葉は、まるで鋭い刃物のように、

私の心に突き刺さった。

そうだ、可愛いだけじゃダメなんだ。

安全とか、快適さとか、

そういう基本的な部分が、

何よりも大事なんだ。

月島先輩にも教えてもらったけど、

改めて痛感する。

花巻先輩は、以前社内で、

「最初は男社会で舐められないように、

誰よりもDIYスキルを磨いた」って

話してたのを思い出した。

彼女の完璧なDIYの裏には、

そんな努力があったんだ。

だからこそ、彼女の言葉には、

説得力がある。

私は、花巻先輩のメッセージを

何度も読み返した。

私の甘い認識を、

優しく、そして厳しく、

正してくれた。


よし、今度はちゃんとやる。

私は、スマホで、

花巻先輩が送ってくれた資料を

見ながら、断熱材について調べ始めた。

ホームセンターで買える素材とか、

DIYの方法とか。

頭がパンクしそうになるけど、

これも、でり丸。との

楽しい車中泊のため。

次回の車中泊に向けて、

新たな準備を始める。

今度は、寒さで震える夜にはしない。

そう、心に誓った。

私の車中泊は、まだまだ奥が深い。

そして、学びの多い毎日が、

これからも続いていくんだろう。

私は、冷え切った車内の中で、

温かいコーヒーを一口飲んだ。

指先から、じんわりと温かさが広がる。

この温かさが、いつか、

でり丸。の車内を、

完全に満たしてくれると信じて。


【ひよりのSNS】

車中泊の夜、マジで凍え死ぬかと思った🥶🥶🥶

寒さ対策したはずなのに、全然ダメだった件…😭

花巻先輩からまさかのダメ出し?!💦

「見た目だけじゃない。快適な睡眠は命に関わる」って、

マジでプロの視点すぎた…勉強になります!📝

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#断熱材 #窓の対策 #次こそは成功

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