第9話「新たな取り引き先」

「残り二つの貴族なわけだが、正直に言おう。休ませてくれ」


「どうしたんだよリミカ?」


「レミア、アサンが貧民地区を襲撃したせいで二度と貧民地区に行けなくなったのと、今後の財宝の引き取り先を探さないと明日の飯すら食えなくなるんだ。ディンもそれが嫌だろ?」


「がうがう、そうだな。アテはあるのか?」


「う、うーん、闇市しか知らなかったからなぁ。サラはお姫様の特権で何か知らない?」


「?」


「聞いた私がバカだった、何も知らない顔してるな……アサン、何かアテはあるか?」


「は? 我ずっとハラサカ家の地下に居たんだぞ? そうだな50年ぐらい? 50年前の情報で良ければアテはあるぞ」


⬛︎


 と、言うわけで、新たな取り引き先を探しに港にやって来た。


「アイツが50年経っても生きてるなら、我の姿を見ただけで声をかけるはずじゃ」


 とか言って港町を歩いてるけど、サラと手を繋いで歩くの恥ずかしいな。


「ん? アンタもしかして、アサンか?」


「おぉ、生きておったかメイレーン」


 メイレーンと呼ばれた老体の女性が現れたかと思ったら、アサンの体を抱きしめた。


「会いたかったよアサン。死ぬ前に再会できて良かったわい」


「うむ、再会早々悪いが、汝の鑑定士としての力を借りたいのだ」


⬛︎


「どぅわぁぁぁ!?」


 私、レミア、ディンは腰を抜かした。


 め、目の前に金塊の山が積み上がってる。


「120点の内20点で5年は苦労する事なく生活できるね」


「め、メイレーン、アンタどこから、こんな金塊を?」


「リミカちゃんだったかい? 実は私は若い頃にアサンと海賊やってたんだよ。その時にアサンから鑑定士の能力を授かってね。この能力のお陰で、ぼったくられる心配はなくなったけど、50年も親友が居なかったのは正直悲しかったね。ハラサカ家のバカ野郎どもからアサンを助けてくれたからねぇ。そのお礼だよ。今後ともよろしくね」


 こうして、闇市よりも信頼できる取り引き先を見つける事に成功した。

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