会社員日記
@naginagihp
金曜日
今日も残業を2時間もした。毎日毎日出社して、パソコンと向き合う。年々ストレートネックと巻き肩具合が強くなってきている。
会社から最寄りの駅まで徒歩5分ほど。地元から都市部へ出てきて転職も3回目。どこの会社へ入職したところでお局はいるし、他力な後輩はいる。小さな役職を与えられて適度に上司の話を聞く。仕事のできない上司は日本の会社のどの程度の割合で存在しているのだろう、と毎日思っている。
電車に乗り込み、座席に座ることもできず鞄を抱きしめながら17分ほどで最寄り駅についた。駅から自宅までは信号を2つ越えないとならない。まぁまぁ大きな幹線道路を1つ越えないとならないので信号待ちは必ずだ。徒歩で8分ほど経過したところでコンビニがある。ここで缶ビールを2本とアイスを2個購入する。
女性の一人暮らしとばれないようにビールの種類もアイスの種類も別々にする。ビールの種類に対してこだわりはない。このコンビニは品揃えがそこまで良くない。しかも私がここに辿り着いたのは20時を過ぎている。惣菜や弁当はほぼ棚が空の状態だ。補充の時間はいつなのかよく知らないが、私がこのコンビニに着く時間は補充される前の状態だ。
レジの店員は大学生だろう。やる気がなく、「袋いりますか」の問いかけはほぼ聞き取れない。「大丈夫です」と答える。おそらくレジ袋の購入の確認だっただろう。ポイントカードの提示だけしてキャッシュレス決済をして退店する。
アイスが溶けないように足早に自宅へ向かう。
歩きながらビールを開けてしまおうかと思ったが、毎週金曜日は冷蔵庫にグラスを入れて出勤している。ビールも冷蔵庫に入れてアイスを冷凍庫に入れてお風呂に入ってからキンキンに冷えたビールを流し込むことが最高の週末の幕開けだからいつごろかやるようにしている。
自宅マンションに到着し、ポストを確認し、オートロックを開錠する。
エレベーターに乗り込む前には必ず後方を確認する。エレベーターに乗り込んで自宅に辿り着いた。玄関を閉めて、2つの鍵をかけ、ドアガードもかけた。この瞬間に長い長い1日、長い長い1週間が終わった瞬間だ。
「ただいまぁぁぁぁ!!!!」
毎週金曜日は毎回声が大きく出てしまう。防犯のためには毎日家を出る際に「いってきます」帰宅したら「ただいま」と言った方がいいと聞くが、一人暮らしの家に向かってそんなことを言うなんて寂しさを加速させるのでいつもは言えない。ただ、金曜日の夜だけは1週間の頑張りを労ってなのか声が出てしまう。
洗面台で手を洗い、コットンに化粧落としを染み込ませ、化粧を落としながら冷蔵庫へ向かう。ビールとアイスを仕舞わないと。そのままお風呂に入る準備を開始する。鞄はクローゼットの前の棚にぼんっと置く。鞄に「君も土日しっかり休みたまえ」と心の中でつぶやく。
お風呂へ入る。週末はスーパー入浴タイムと銘打って以前友人からプレゼントしてもらったモデルおススメの入浴剤を入れ、シャンプーも高いものを使う。
1時間ほど入浴タイムを楽しみ、スキンケアをして髪を乾かしてキッチンへ向かう。
冷凍庫から冷凍餃子と冷凍したごはんを取り出しレンジで温める。その間にテーブルを拭きあげて箸とグラスとビールを用意する。
「一週間お疲れ様でした!いただきます!」
手を合わせて大きな声で言う。これも毎週金曜日だけだろう。人と食事する際は育ちがいいように見えるようにと手を合わせて小声で言うことも多い。
家でテレビをつけるが、テレビ番組を見ることはほぼない。朝のニュースくらいか。リモコンでYouTubeを選択して好きなお笑い芸人のやっているチャンネルを付ける。笑いながらビールを流し込む。餃子とお米だけで十分な幸せだ。
明日は朝にはスーパーに行きたい。作り置きを作って平日にできない掃除をしてしまいたい。数年前よりも格段に物価があがり、しがないOLには生活がなかなか厳しい。外食なんてしている余裕はないが、小さなご褒美を積み重ねていかないとこんな世界で生きていくことはできない。毎週末に食事の作り置きをして、毎日の生活が少しだけ楽になるように計算しながら生活している。
今はそんなことなにも考えずに2本のビールとアイスを食べてソファでぐうたらとしておきたい。
あの偉そうな上司はつくづく仕事ができないんだよな。仕事のフォローをしているのに私たちの給料は上がらない。会社員だから仕方ないか。と割り切るが、偉そうな上司の方が給料がいいことは腹が立つ。だからこっそり毎日私が出社したら上司の椅子に消臭剤を撒いている。SNSで消臭剤で除霊効果があったという胡散臭い投稿を見つけたからだ。霊感もないし、オカルトも信じていないが、なんとなくこの消臭剤でやつのむかつく雰囲気が消えてくれたらありがたいなと思って毎日の日課にしている。
あ、会社であの消臭剤の発注かけたかな。まぁいいか。なかったら月曜日に発注かけておこう。
家に帰ってまであいつの顔が出てくるところがまたむかつく。
アイスがなくなってしまったのでキッチンでスナック菓子を探し出す。こういうところで食費が嵩むし、痩せないんだよなと思いながら大袋のスナック菓子を開けた。まぁ週末しかこんなお菓子食べないしいっか。
なんか顎に違和感がある。ソファーの横にあるドレッサーの引き出しからファンデーションを取り出し、コンパクトを開ける。鏡を見ると顎の真ん中に赤いしこりが小さくできている。
「またお前か。」
毎月毎月生理が来る前になると同じところにニキビができる。健気にきちんと同じ周期でできる。ニキビは潰すなとはいうがむかつくので潰してしまう。ただ、出来立てほやほやのこいつは潰すことができない。触っても触らなくても痛い。この時期が一番むかつく。
「今日もずっとむかついてるわ。」
生理前なのであれば、と冷蔵庫に入っているチョコの小袋を3つ取り出す。もう食欲コントロール不能です。ニキビも出てきたいならとっとと大きくなりやがれ。
スマホを見るとすでに日付は超えていた。ドラマでも見ようかなと思ったが、見たらおそらく寝れなくなる。諦めて歯磨きをして寝よう。
歯磨きをしてベッドに入る。健やかに寝れますように、とアロマオイルを垂らしてアイマスクをして数回呼吸をしたところから金曜日の記憶はない。
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