第4話 お昼の一時
慌ただしく過ぎた女の子になってからの初登校から数時間後。
校舎の片隅の空き教室で
「どうですか。姫野さん?」
「どう、とは?」
「えっと……、私の作ったお弁当」
「あぁ……、あぁ。美味しい。美味しいです」
「ありがとうございます。それにしても上の空ですね」
「それは……。あれだけ質問攻めにされたらね」
「あぁ……」
そりゃあもう大変だった。
あれ、あれだ。
転校生によく質問攻めするあの定番の光景。
あの中心に僕がいただよな……。
あははは……。
「ねえ、放課後なにか予定あったりします?」
「あぁ……、僕はないですね。多分、普通に家に帰ると思う」
「そう、ですか」
なんかモジモジしているけど、これはお誘い?。
お誘いなのか!?。
いや、でも……。
ええい、ままよ。
「もし!。もし、剣崎さんが良いなら……、僕と一緒に放課後、遊びませんか?(女の子の放課後気になるし)」
「うん。一緒に遊ぼう。えへへ〜、ようやく
oh......。
そこまで好感度高かったとは少々驚きだ。
それに、剣崎さんの笑顔を見て安心したのか、ようやく味を感じる。
剣崎さんのお手製のお弁当は大変美味しく、ハンバーグにほうれん草のソテーとそこそこバランスにこだわってるの流石だなって思う。
特にラノベみたいに変なこだわりが少ないのが個人的に好感。
「うん、このハンバーグの肉汁とチーズが染みて良い……」
「ありがとう、ございます」
「この味付け、なんか覚えあるだけど」
「あっ、それは、お義母さんに教えて貰ったです。「私に料理教えてください」って言ったら清く教えてもらいました」
「へぇ……、いつの間に」
「それに、謝られてしました。「あの子は冷凍の物に慣れてるから変に凝ったの作ると引かれるかも……」って」
「あっ、あぁ……。ごめんね。こんな庶民舌で」
「別に構いません。それに、普段どういうおかずが好きなのかもわかって嬉しかったし、こういうのはこだわった方が良いと思っていたので」
「まあ、いつもこだわって作ってると大変だろうし、それを毎日やられるとちょっと申し訳思うし」
「うぅ……。そこまで考えてませんでした」
「でも……」
「でも?」
「たまになら、剣崎さんのこだわった料理食べてみたいなって(週一ぐらいで)」
「っ!!。ありがとうございます。今度作りますね」
パァっと満面の笑顔のまま抱きつかれた。
どうしても顔を包み込みように抱きつてくるせいで胸の膨らみが、当たる。ふくよかな感触が。
そこまで僕のこと好きでいてくれるの嬉しい。
普段からあんまり親といたことないから、こういう風に愛されるの不思議に感じる。
思わず顔が紅くなってしまう。
それにしてもデートかぁ……。
性転換した今だからこそ、お互いに素直になれたと思うと、案外悪くないのかもしれない。
あと数時間後だ。
楽しみに待っておこう。
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