未知の病で女の子になったら、隣の美少女が世話してくる話

アイズカノン

プロローグ

 世の中には『可愛い制服』というものがある。

ここ【瑠璃ヶ丘高等学院】の制服もその可愛さで受験候補に選ばれる学校だ。


 なんでこんな話をしてるかって?。

それはその制服をある奇病の影響で女の子になってしまった僕が、着た状態でクラスメイトに鏡で見せらてるからだ。


「よく似合ってますよ。姫野ひめのさん」

「うぅ……」


 アンダーバスト辺りまでしかない黒いショートブレザーに白いブラウスとミニ丈の黒いハイウエストスカートの制服。

そして何故か履かされているガーターベルトがスカートとハイニーソの絶対領域から見える。

そして黒髪のショートヘアに蒼い瞳の少女。

これが今の僕の姿。

こうなってからもう1週間になるが、あまり慣れてない。


「あの剣崎けんざきさん」

「はい。なんでしょう」

「この姿で行かないとダメ?」

「ダメですよ。せっかく女の子になったのだから、可愛くしないと」

「でも……」


 僕の隣で肩に手を置いて顔を寄せてくる少女は剣崎けんざき真依まい

マンションに住んでる僕の隣にいるクラスメイト。

その美しい銀色のロングヘアをたなびかせ、誰もが振り向く容姿。

文武両道な成績。

誰にも頼られる完璧美少女。

一部ではスーパーダーリン――スパダリとも言われて、男性からはもちろん、女性からの人気も強い。

そんな子が、女の子になった僕の制服姿を見て、非常〜に興奮している。

なんか「はぁ……。はぁ……」といった吐息が聞こえるけど気のせいよね。

それにこの制服を用意したの剣崎さんだからね。

怖い。怖いよぉ……。


「あの……」

「どうしましたか?。もしかしてブラの付け方忘れましたか。大丈夫です。私が着付けますから」

「いや、それはありがたいけど……。そこまでしてもらう必要ないかな……と」

「えっ、ダメです。それじゃ私が姫野さんに恩返しできないじゃないですか」

「えぇ……」


 言ってる。言ってることは分かる。

だけど、それに対する行動が釣り合わない。

それに恩返しって何!?。

僕、そこまでしてもらうような恩した覚えないよ。


「うぅ……、それじゃあ。今後もよろしくお願いします」

「はい。おまかせください」


 折れた。僕は折れることにした。

だって目線が怖いだもん。

性欲に満ちた野獣な瞳で見てくる。

怖い……。


♡♡♡


 それから翌日。

久しぶりに来た教室でクラスメイトと対面する。

緊張感が強い。

みんなの目線が怖い。


「あ、あの。例の奇病で女の子になった姫野ひめの結斗ゆいとです。再びよろしくお願いします」

「そういう事ですので、皆さんもよろしくお願いします。特に女生徒はまだ慣れない彼?彼女の手伝ってあげて欲しい」

『はーい』

「はい」


 優等生な態度で見つめる剣崎さん。

流石に学校でもあんなことはやらないよな。

そんな不安を感じながら新しい学校生活が始まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る