第6話 識眼の呪縛
しかし、俺には実在する人物のように目の前にいる。
しかも胸ぐらを掴んだ。
「ん?実体を持たないのに?」
ミアがおもむろにデカい鳥によじ登り始めた。
「うんしょ。うんしょ。」
掛け声も日本語か。
「この化け物の鳥も亡霊なのか?」
俺は紳士ルクスに聞いてみた。
「これは大丈夫だ。君とミアなら乗っても落ちたりしない。」
紳士ルクスは登ってるミアを心配そうに見ながら応えた。
「君にはこのヴォルクスが見えるんだろ。形を捉える能力があるんだ。その瞬間ヴォルクスは実在する。だがほとんどの人間は存在を認識できない。そこにいるのに、見えないんだ。」
「へぇ〜。」
俺は意味がわからなかった。
「君は僕に触れたれたろ。僕は君にとって実在してるんだ。」
俺は紳士ルクスの話を聞きながら眩暈がしてきた。
ふと上を見上げるとミアがものすごい形相で俺を見ていた。
「おい!コマンダー!早く登ってこい!」
紳士ルクスはふっとため息をつき。
「ミアに免じて…。」
その時、紳士ルクスにミアの所までぶん投げられた。
「やめろ〜!」
と同時にヴォルクスが羽ばたき、俺をキャッチした。
紳士ルクスは飛び立ったミアたちを見ながらつぶやいた。
「ふふ。千年ぶりに…。」
ヴォルクスが翼を広げるとセスナ機と間違われるだろう。
俺は予想を超えるスピードに息ができなかった。
ミアは夜景を見ながらはしゃいでいた。
「ヒャッホー。何だこれは。地上の星座だな。」
俺は息をするのが精一杯だった。
「うごっ。うごっ。」
ミアは冷ややかな視線を向け「向こうに着くまで死ぬなよ。」と特に心配していなかった。
「おい。コマンダー。前から考えてたんだが、私とコマンダーには何か因縁がある。紳士ルクスに取り憑かれた日からそう感じるようになった。」
俺はミアの話を聞くどころではない息ができなくて窒息寸前だった。
「うごっ。うごっ。」
「まぁいいだろう。紳士ルクスはあんた絡みになると、何だかんだ、言うことを聞いてくれる。」
「今回の日本留学も大賛成どころか一緒についてきちまった。何を企んでるのか。」
そうこうしているうちに神流町へ到達。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます