御朱印帳が流行ってるうちのクラス。誕プレにわたしも貰ってしまいました。

荒井瑞葉

第1話 この頃、クラスで流行ってるもの

 この頃、クラスで流行ってるもの。

 一つ目は、「もっしー」という白いキャラクターなんだ。名前の由来はよく知らない。

 ソフトクリームみたいな外見で可愛いね、って話なんだよ。高校二年生にもなって、このキャラのペンケースとか、ちびのぬいぐるみとかを、みんなが学校に持ってきてる。

 わたしも「もっしー」の柄がケースについた消しゴムを持ってる。正直、文具店のフツーの消しゴムに比べると、消し心地が今ひとつなのだけれど。


 この頃、クラスで流行ってるもの。

 もう一つが「御朱印帳」なの。わたしは深夜アニメに詳しくないんだけれど、「除霊ボーイズ」というアニメが火付け役なんだよ。何話かスマホで見てみてわかった。作中の主人公、李人りひとくんが除霊の際に使うのが、彼の「御朱印帳」というわけ。

 全国の名のあるお寺や神社に書いてもらった御朱印のページを開いて、「除霊の呪文」を唱えるの。雷の呪文や炎の呪文は迫力があるよ。


 わたしは眠くてたまらない。もうすぐ誕生日が来る。彼氏のいない誕生日がね。


「冬原さん! 起こしてごめん」

 男子に声をかけられて、わたしは眉間にいつものシワを作って、不機嫌そうに口にした。

「なんだよ。こっちは寝てるっつうのに」

 声の主は隣の席の遥希はるきくんだよ。サラサラの黒髪ストレートヘアで、笑う時もどこか儚げでさ。わたしの水色の爪なんか立てたら、傷つけちゃいそうな「好青年」だよ。


 

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