小説宣伝局・終わりなき宣伝の物語
古時計
例文 『桃太郎』
「ねぇねぇヨミエル、桃太郎って知ってる?」
「桃太郎か……勿論知っているぞ、日本の伝統的な昔話だろう」
「正解!じゃあ、桃太郎のストーリーも完璧に知ってるかな〜?」
「簡単に言えば……昔々、桃から産まれた桃太郎という子が、犬、雉、猿を連れて鬼退治をする話しだろう」
「めっちゃ端折ってるじゃん!もぉー、それじゃ宣伝になんないよー」
「ラナ、それは違う、宣伝というものはただ単に物語のあらすじを説明するだけじゃない」
「え?」
「まず手本を見せてやろう」
「さて、自分は桃太郎という物語を読んだが、自分はこの物語に『武士道』というものを感じた」
「武士道!?私の知ってる桃太郎とかけ離れたテーマなんだけど!?」
「そう思うだろうが、武士道というものを意識して桃太郎を読むと、存外にしっくりとくるんだ」
「まず、桃太郎は川から流され、お婆さんに拾われた、いわば捨て子に近い境遇だ」
「ものはいい様ってやつじゃん!」
「きっと桃太郎は、お婆さんとお爺さんに拾われ、育てられたその事に恩義を感じたのだろう。だから桃太郎は二人を、いや、村を困らせている鬼を退治しに行った」
「桃太郎のこの行動が忠義心によるものだとすれば、この後に登場する三匹にも自然と深みがでる」
「犬と猿と雉の事……?」
「そう、三匹の彼等は、桃太郎にきび団子の施しを受け、桃太郎に忠義を尽くし、戦へとお供する。いわばこれも、恩には忠義で返す『武士道』というものだろう」
「どうだラナ、桃太郎の物語には、武士道というテーマが見える」
「確かに……って!これって殆どヨミエルの感想じゃん!こんなの宣伝になるの!?」
「物語をどう受け取るかは読者次第、宣伝というものは、一読者が感じた魅力を語言化し、その物語に魅力を知ってもらう事が重要だ」
「……と、思う」
「うぅ、これいつか怒られるじゃん!」
「その時は、しっかり謝るさ」
「兎に角、誰もが知っている桃太郎。大人になった今、武士道というテーマが見えると聞いて、貴方も今一度、読んでみたくなったでしょう?」
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