病院
医者は病室で、全身を撮影した写真を患者に見せていた。
患者の見た目は間違いなく女性であった。
写真の中には、レントゲン写真も含まれていた。医者も今回は、自信がある手術であった。医者は素材がいいとでき映えもいいと患者を褒めた。
患者、結花は自身の写真を見ていた。彼女はまだベッドの上であった。写真はまだ手術直後であったので、傷跡が生々しいが、まさしく美しいラインを保つ女性の姿が、こには描かれていた。
結花は一枚のレントゲン写真を、窓の明かりに照らした。
「これが私の子宮なんだ……」
結花は一枚のレントゲン写真に言葉を漏らした。今までの自分になかったもの。自分が人生でいちばん欲しいと願ったもの。そして、どんなに願っても得られなかったもの。結花は元々男であったが、この日から本物の女になった。身も心も。
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