粉雪の中の蝉時雨。幼気な怪異への遺言。

秋も深まる頃の公園で、オリーブの木の
根元に それ はあった。
 冬の粉雪に混じって季節外れの蝉時雨。
白い静寂の中に 蝉の声 が混じり合い
いつしか、それらは同化して行く。

 何の変哲もない日々を暮らして

時は過ぎて行く。
 現実には存在しない 音 の流れに
呑み込まれる様にして生きて行く。

  その人生の 終 に。

公園のオリーブの根元が破れていた。
蝉時雨は、もう聞こえない。中に息づいて
いたものは、何だったのか。
何れ、この世のものではないのだ。

 既に虚になったオリーブの根元。

そして、白く透き通る幻想を見る。
生命なのか、それとも因縁なのかは

  知る由もない。
         人の身には。

それでも、この白く透き通る様に在る
赤子の、今始まったばかりの 生 に


 幸あれと願う。



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