汚染は広がる
廃神社はヤバい――というのは、オカルト好きには割と有名な話だ。
信仰されなくなった事で、元から居た神様が良くないものに変質したとか、何も居なくなった事で、良くないものが代わりに住み着いたとか。そう言う話があるのだという。
私の地元にも、そういう、ヤバい廃神社がある。
子供の頃からあそこは危ない、ヤバいと噂になっていた。
荒れ果てた境内は、霊的なものかそれともホームレスかは知らないが、何かが居ると言われていたし、変な音を聞いたとか、影を見たとかの話も聞いたことがある。
だが、その噂が決定的になったのは、有る事件が原因だ。
正確にはそれが事件なのかどうかすら分からない。確かなのは、その神社でバラバラ死体が発見された事だけだ。
バラバラ死体は一体分、三人のものが見つかった。
どういうことかというと、右手はAさん、左手はBさん、頭はCさん……などというように、性別、年齢、職業などに共通点の無い三人の死体を無理やり組み合わせて、一体の死体を作ったバラバラ死体が見つかったのだ。
境内で足りなかった部分の人体は、今になっても見つかっていない。
廃神社の周りは立入禁止区域になった。たまに、禁を破って肝試しをする学生が出たりもするらしいが、碌な目にあっていないという。
それから年月が経った。
私が故郷を離れてから十年、忙しさにかまけて、ついつい戻るのをおろそかにしていたが、機会あってこの度、一度実家に行くことになった。
久々に戻った地元、私は例の廃神社の事を思い出した。
今でも立入禁止区域に指定されたままなのだろうか? いやいや、十年も経てば、さすがにそれも解除したのではないだろうか。
そんな事を思って近くによって見ようと思って……出来なかった。
記憶にある立入禁止区域よりも遥かに手前に、この先立入禁止の看板と、黄色と黒のロープがあったのだ。
実家に戻った後に母に聞いてみると、立入禁止区域は年々広げざるを得なくなっているのだという。
この街に人が住むことが出来るのは、あと何年くらいなのだろうか。
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