第99話「4階層の戦い方」

#第99話「4階層の戦い方」


 俺はレベル4になり更には使役モンスターは5体に増えた。そして育成方針も決まった。

 とりあえず最優先はルフとクーの育成。そしてそのためにラムとリンがローテーションを組んで育成をするという方針に決まった。


 とはいえ、2人(1人と1体)での4階層は戦い方が難く最初からかなり苦戦した。その原因は数だ。敵は5~15体もいるのだ。

 そのうちレベル4の強い個体クイックウルフは1~3体と少ないのだけどやはり敵の数が多くなると難易度が上がる。特に囲まれたらきつい。

 そこで、俺はルナに4階層の戦い方を相談した。


「まずは敵対した時にすぐに敵の内訳を頭と体に入れるように」


 稽古の合間、ルナは白線を床に引いて盤面を作った。


「中核はレベル4のクイックウルフが数体。それにレベル1~3の取り巻きが混成でつく。数は5~15体。基本的には位置取りを最重要として考え安全圏から弱い順に落とせば理屈では安全。でも――」


「でも?」


「レンの打撃はまだ安定しない。剣をふるった時に“倒せるつもり”で倒し切れず、反撃をもらうリスクがある。最悪、敵陣で囲まれてしまう可能性がある」


「まずは常にレベル4のウルフの位置を確認するように。弱い敵に手間取っている自分を、ウルフが盾越しに攻撃に来るイメージを持つことだ。場合によってはウルフは自分の味方を道連れにしてこちらを攻撃することすらもある」


「盾越しに攻撃か……」


「ああ、4階層の混成は、ばらばらなようで現実的な“役割分担”ができてることが多い。押さえ役、盾役=レベル1~3のモンスター、そして攻撃、アタッカー=ウルフ。このウルフを見失った瞬間に攻撃を受ける可能性があると思った方がいい」


「レンがもう1人の味方と一緒にやるならば、運用は2人共に盾役の感覚で立つのがいいだろうな。常に動き囲まれない線で位置取りを維持しながら、弱い個体から倒す。余裕があれば一人が常時ウルフを牽制し盾役に、もう一人が弱い個体から順に倒す。これが一番安全」


「了解」


 ルナは頷き、俺の肩を軽く押す。


「レンは半身→袈裟→半身が形になってきた。そこで連続攻撃しようなどと欲張らないことだ。1体を相手している間に攻撃を受ける可能性があるからな。今は安全圏から1回1回を丁寧に繰り返す」


「ああ、いろいろな人から安全が第一と言われているからそれは徹底するよ」


 うーん。やはり奥が深いな。ルナは4階層では連続攻撃であっという間に数を減らしていく。だから4階層の敵はルナから見れば全て弱く余裕なのかと思っていた。

 でも現実には相手と対峙した時点で力量を測っているようだ。

 何も考えずに力任せに連続攻撃しているわけではないのが分かった。力と技だけではない、常に頭を使っている頭脳プレイなんだ。


「個々の敵の弱点の把握もした方がいい。それぞれ特徴がある。スピードのあるモンスター、力のあるモンスターとかな。スピードに落ちるモンスターなら安全圏から倒しきるのが現実的、スピードがあって耐久力が落ちるモンスターは先に倒した方がいいだろう」


「そうだな。それは間違いないよな。いろいろ出てくるから混乱するけど優先順位を付けておくと比較的楽に倒せそうだ」


 なんとルナは複数モンスターと対峙した時に全ての敵モンスターの配置、それぞれ個々の力量を即時に判断しているらしい。敵モンスターの数とリーダー格だけ確認して対峙している俺とはかなり違うと言わざるを得ない。



「敵モンスターの構成を見ずに、やみくもに動いたらそれだけ時間がかかるし安全度が下がる。まずは4階層で出現する敵の種類と構成パターンをしっかりと知っておくといい。4階層以上になると動画も多いだろうから研究するのもありだ。私はそういう動画の存在を知らなかったから実戦で少しずつ覚えたがそんなリスクを冒す必要もない」


「分かった。勉強もしておくよ。敵モンスターの構成と個々の弱点の把握だな」


 なるほど4階層で出てくる敵の種類、構成パターンとそれぞれ個々のモンスターの弱点を知っておけば楽になるな。これは当たり前の話だけど俺はおおざっぱにしか把握してなかった。がっつり確認しておく必要があるだろう。そして敵を見たら即時、最も安全な方法をシミュレーションして動く。



「あと現実的なことを言えば最初は敵構成と数を見て5~10体までだけ限定して狙うことだな。それ以上だったら即時撤退。だから常に周りのチェックを忘れてはいけない。逃げる時に転んだりしたら最悪だ」


「ああ、そういうことは3階層でもやっていた。強い敵には最初から戦わないというのは理にかなっている」


「そうだ。それで10体以下を安定して余裕を持って倒せるようになったらそれ以上の数も試していけばいい。とにかく最初は無理をしないことだ。徹底的に相手の力量を図っていけ。まずは敵を知ることだ」


「了解だ。ありがとう。ためになったよ」


「どういたしまして。とにかく安全第一でな」


 無理に倒しきるような動きはしない。これは今までと同じだけど今まで以上に意識する必要がありそうだ。

 俺は強くなったけど過信してはいけない。もっと頭もフルに使っていこう。それはゲーム時代にもやっていたことだから得意なはずだ。それを現実に落とし込めばいい。


 相手を瞬時に把握し、常に安全圏からの攻撃、そして離脱。それを繰り返していく。

 もっと強くなればルナのような形であっという間に倒し切ることもできるかもしれないが今の実力で安全に倒す方法でやっていくべきだろう。

 よし、やることは決まった。後は実戦していくだけだ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る