第40話サッチャルの実技試験
サッチャルは
「私は【魔力過少症】の治療薬を作ります。材料は【マジエレの木の実の赤い実】と【太陽のきらめき】という希少な薬草の花の部分だけを使います。それと【ナデモ草】を使います」
と説明しつつ、ビーカーや魔動コンロを用意して浄化魔法をかけていた。
そして試験官達から色々質問されていたので僕が代わって回答する。
「皆さん妻は今から意識を集中して魔力注入しなければいけないので、質疑応答は僕にお願いします」
「「「おおお、申し訳ございません。」」」「「「同じ【薬師】である我々が素人のような行動をしてしまいました。恥いるばかりです」」」
「これがマジエレの木の実です。この赤い実が今から作る【魔力過少症】の治療薬の素材となります。そしてこちらの青い実の方は僕が作った【魔力過多症】の材料となります」
「不勉強で申し訳ないがワシは生まれてこの方【マジエレの木の実】というものを知りませんでした。いったいどこで手に入れたのですか?」
と言ったのは老王宮治療長だった。
「僕も【神級薬師】のスキルを得る迄は知りませんでした。実はこの実はこの子があそこの山脈の裾野の森から持ち帰って来てくれたのです。この子は僕の契約妖精のパリーと言います。この世界の【ジェイミー神様】の眷属なんですよ」
「「「「「「「おおそうか!だからこの世界初の【神級薬師】のスキルを入手出来たんですね」」」」」」
「これはもうテラノさん自身が眷属なのでは⁉」
「いいやもう彼自身が神様だといっても過言ではないのでは?」「「「「「「そうだそうだ」」」」」
そうこうしているうちに魔法注入を終えたサッチャルの薬液が透明感のあるピンク色に変わった。
「完了しました。鑑定お願いします」
サッチャルが言う。
「おお、はいはい申し訳ない今すぐに鑑定しましょう」
「ふむ、確かにこれは紛れもない【魔力過少症】の治療薬ですなしかも無害。バナナ味ときている。良薬口に
「そうですわ。私の【魔力過多症】のお薬もイチゴ味でとっても美味しかったですわ」
と第2王女殿下も証言した。
第2王子殿下もサッチャルの作った薬を飲んで自分の体調の変化を感じ取って喜びの声を上げた。
「みんな見てくれ!昨日まで魔力無しのくず王子と蔑まれていた私だが今なら普通に魔法が使えそうだ。そうだな、まずは【
パチパチパチ拍手が起きる。
「そして【
これは魔法師でも使える者が少ない上級魔法だ。
会場中に居た人々が一気に疲れが取れて体調が頗る快調になったのであった
割れんばかりの歓声と拍手。
これで合格間違いだろう。
だがまだ試験は終わっていない。自分達が作った薬のレシピを書かなくてはいけない。
そして集まった試験官たちに【星の雫】と【太陽のきらめき】の採取場所を教えてくれと懇願された。2種とも名前は知っていたが本当に存在していたのかという驚き。研究者の探求心をゆさぶる希少な薬草なのだ。
これらは冒険者訓練所の在るパラサットの町のA級ダンジョンで採取したのだったが、あの頃は何の役に立つのか判らなかったが珍しい薬草だったので採取しておいたものだったのだ。
あの頃に採取しておいたものが今役立っているのに感銘を受けた。当然採取したA級ダンジョンの所在地を明記しておいた。
試験は無事合格してミスリル製のプレートに【神級薬師】の肩書と僕達の名前が明記されていた。
さあ帰ろうかという時に足止めされてしまった。国王陛下に謁見して欲しいという要請が有ったのだ。しかも第2王女殿下と第2王子殿下が僕らが泊まっていた宿に直接訪ねてきて是非にと請われたのだ。着ていく服が無いと断ろうとしたが
「こちらで用意しますので是非是非お願いします」と頭を下げられては断り切れなかった。
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