わたしの愛した音楽を

12曲目 選ぶことは選ばないこと

タイトル：青い栞

歌：Galileo Galilei

作詞・作曲：尾崎雄貴

URL：https://www.youtube.com/watch?v=mF-Da9NXmb4&list=RDmF-Da9NXmb4&start_radio=1

初聴：高１

蓬葉No：606

蓬葉階級：2つ星／6つ星　

　アニメ「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」のオープニングテーマですが、私自身は実はアニメで当該作品を見たことはありません。

　2011年から12年にかけて放送されていたとのこと。私はちょうど小学生のころでした。小説で読んだ程度であり、あまりこの話とからめて話すことができないのですが、ある意味純粋に楽しめるかもしれません。

　さて、ここで、私の楽曲観を語らせてください。アニソンについてです。興味がなかったら、☆から★まで飛ばしてください。

☆

　私自身は、「楽曲は、それ単体で成立しうる」と考えております。

　楽曲の解釈や視聴をするときに、MVなど周辺の情報には深く立ち入らずとも単体として解釈の余地がある、ということです。

　理由としては、必ずしも楽曲とMVなどはリンクしているとは限らないということ、何でもかんでも考慮の対象にしてしまうとただでさえ難しい解釈がさらにぶれてしまうかもしれないということなどが挙げられます。もちろん大切な要素のひとつなので、まったく触れないということはないですが。

　それは、アニソンについても言えます。つまり、アニメとのつながりを一度措き、ひとつの楽曲として楽しむという視点です。

　これは、アニメが終わった後でも残る曲である以上、アニメとのつながりが薄れたとしてもみんなが「いい曲だな」と思えるような曲作りをアーティストはしているだろう、と考えているためです。もちろん「ドラえもんのうた」など、例外は多々あるでしょうが……。

　そのため、今回も「あの花」との関連については深く言及しません。（言及するほど作品を熟読していないという都合もあります）

★

　今まで語ったことがなかったのですが、私は中学時代から高校時代までウォークマンを使っていました。中学時代にウォークマンを同じ部活の友人に貸した時期があって、戻ってきたウォークマンに入っていた曲の一つが、この曲でした。

　1番サビに不思議な歌詞があります。

　まだ二人はすぐそこにいるのに「また会えますように」なんてどうかしているみたい

　この曲は、「あの花」を意識した歌詞なのでしょう。

　しかし、アニメから離して、一般化して考えてみることもできます。

「近くにいる＝必ず会える」

　この等式が常に成り立つとは限りません。　

　それは勇気が足りず、アプローチを仕掛けられないという心理的な場合もあるでしょう。社会的な状況やプライベートな事情があるかもしれません。

　いずれにしても、一般的には成り立つその等式ですが、様々な事情から会えなくなることもあります。それは「どうかしている」ように見えますが、決して特殊なことではないでしょう。

　もう一つ、次のような歌詞もあります。

　どれか一つを選べば音を立てて壊れる　

　それが愛だなんて　おどけて君は笑ってた

　選択するということの副作用を述べたものです。

　選択するということは、何かを選択しないということです。

　選ばなかった世界は音を立ててなくなる、ということでしょうか。

　それが「愛」というのもなかなかエッジのきいた歌詞です。

　この曲を聴いた当時の私は、高１でした。

　当時はback numberの全盛期で、「fish」、「風の強い日」、「西藤公園」などが同時期に聴いていた曲です。

　ボカロではn-bunaさんが「アイラ」や「始発とカフカ」で中３時代以来の登場を果たした時期です。また、こののち私の音楽史の中で、n-buna（ヨルシカ）、Orangestar（第6曲で紹介した「Sunflower」の作曲者です）と肩を並べることとなる はるまきごはん（第2曲で紹介した「蛍はいなかった」の作者です）が「銀河録」で登場したのも同じ時期でした。

　Galileo Galileiというバンドは、これ以前に「恋の寿命」という曲で知っていました。「まじっく快斗1412」のEDテーマです（なおOPテーマはHoneyWorks「アイのシナリオ」でした）。それ以降、しばらく離れていましたが、社会人2年目に「4匹のくじら」で久々に登場、その後、3年目で「リトライ」を聴いています。

　歴史の中で、かつて聴いたことのあるアーティストとの再会があるのも、人生の醍醐味であるといえます。