11曲目 それは恋よ
タイトル:グレゴリオ
歌:ちびた
作詞・作曲:古川本舗
URL:https://www.youtube.com/watch?v=a5WX1J8YL_c&t=1s
初聴:高2(2016)
蓬葉No:667
蓬葉階級:3つ星/6つ星
童話を思わせる優しい曲です。
少年「グレゴリオ」と「私」が会話をしている。というより、グレゴリオが語っているという形式です。「グレゴリオ」は「私」に、遠い昔、大切な時間を過ごした一人の「少女」について話します。
「グレゴリオ」は「少女」の名前と顔について記憶がありません。昔の話とあるので、記憶が持たなかったのかもしれません。
忘れること。
それは果たして幸せなことでしょうか、不幸なことでしょうか。
いつかすべて忘れると思えるのなら、つらいことも受け入れられそうです。
しかし楽しいことすらも、と考えるなら、苦しいですね。
雲が流れたこと 花が咲いたこと
二人が話したとされる会話の内容は、他愛のないものです。
心の隅に、すべてを置いておくことはできない。つまり、記憶することはできないと歌詞にあります。しかし、そんな状態のグレゴリオがそれを記憶していること。
そこから、この二人にとってはとても大切な会話だったことがわかります。
私は、少しだけ、ほかの人より記憶力がいい自信があります。
大切な記憶。
忘れたい記憶。
とるに足らない記憶。
もしかしたら、嘘かもしれない記憶。
それらが集まって今があります。
今を過去の積み重ねととらえるか、あくまで未来への一過程ととらえるか、人によりさまざまでしょうが、私はきっと前者への信仰が強い人間と思います。
しかし、未来は現在の行動の作用を受けますが、過去も現在の作用を受けます。
あんなに大切で愛しかった青春の記憶が、反転して、辛く苦しい、取り返しのつかない記憶になることもあります。それは自分自身の問題によるものもあれば、ほかの人の行動の結果によるものもあります。自分の力ではどうにもならない運命によるものもあります。
しかし、今の自分は過去が積み重なってできた。
グレゴリオもきっとそれをわかっている。しかし、思い出せない。自分を形作る何かが、思い出せない。愛しく思っていた人の顔と名前が、思い出せない。
彼にとって幸いだったのは、その言葉を聞いてくれる「私」がいたことでしょう。
何があっても言葉を聴いてくれる人。返してくれる人。
大切な人は、誰しもいるはずです。そんな人いないと思うかもしれませんが、あまり人づきあいの得意でない私ですら、思いつく人がいます。だから、きっといます。
そういう人を大切にしていきたいと、思います。
しかし、この曲では、「私」が一人残されるという終わりを迎えているように見えます。童話的で、切なく悲しい終わり方です。
この曲を聴いたのは高2のころです。
当時はDECO*27「ゴーストルール」が世間では流行に流行っていました。同時期にはn-bunaさんが「春・童話期」を迎えています。私が勝手に名付けている時期区分で、「白ゆき」、「花降らし」などが当てはまります。
どこか内省的で、やわらかな曲調は、当時に私にもずいぶん染み入った記憶が、あります。
「それは恋よ、グレゴリオ」
サビのこの始まり方も、とても耳に残りました。今でも、時折聴いては、しんみりとしています。
古川本舗は、古川Pを中心としたグループ名です。初めて聴いたのはボカロ曲「Alice」。ほかに「スーパー・ノヴァ」や「girlfriend」といった、どこか過去に思いを馳せさせるような曲が特徴的です。
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