8曲目 過ぎた日々を思い出す

タイトル:mild days

歌:羊文学

作詞・作曲:塩塚モエカ

URL:https://www.youtube.com/watch?v=Wpa4u04yQyw&t=1s

初聴:4年目(2025)

蓬葉階級:——/6つ星 ※最新曲なので、まだ階級はありません。



「また明日」

 この言葉は尊いものです。

 それは、いつか必ず「また明日」と言わなくなるときが来るからです。


 小学校、中学校、高校、大学と生きてきました。

 もう取り戻せない日々です。

 少しずつ遠ざかっていく日々ですが、その中で「また明日」と、誰もが友人に言ったことでしょう。

 そのことを思い出すと、泣きそうになります。だって、帰って来ないんですよ。そんな日々は。

「また明日」と言える人がいるなら、その人をこそ大切にしましょう。

「また明日」と言ってくれる人がいるなら、その人をこそ大切にしましょう。

「また明日」と自分から言ってみましょう。




 友情については、ニーチェの言葉を思い出します。長くなりますが下に引用します(https://w.atwiki.jp/mcstory/pages/172.html より)。哲学はちょっと……という方は、★までカットしてください。なお、適宜ルビをふっています。

——————————————————————

――われわれは友達であったが、互いに疎遠になってしまった。

 けれど、そうなるべきが当然だったのであり、それを互いに恥じるかのように隠し合ったりくらまし合ったりしようとは思わない。

 われわれは、それぞれの目的地と航路とをもっている二艘にそうの船である。

 もしかしたらわれわれは、すれ違うことがあるかもしれないし、かつてそうだったように相共に祝祭を寿ことほぐことがありもしよう、


――あのときは、この勇ましい船どもは一つの港のうちに一つの太陽の下に安らかに横たわっていて、すでにもうその目的地に着いたように、そして同一の目的地をめざしていたもののように見えたかもしれない。

 しかしやがて、われわれの使命の全能の力が、ふたたびわれわれを分かれ分かれに異なった海洋と地帯へと駆り立てた。


 そして、おそらくわれわれは、またと相逢うことがないであろう

――万が一、相逢うことがあるとしても、もう互いを見知ってはいないであろう。

 さまざまの海洋と太陽が、われわれを別な者に変えてしまっているのだ!

 われわれが互いに疎遠となるしかなかったということ、それはわれわれの上に臨む法則なのだ!

 まさにこのことによって、われわれの過ぎし日の友情の想い出が、一そう聖なるものとなるべきである!

 おそらくは、われわれのまことにさまざまな道筋や目標が、ささやかな道程として包み込まれるような、巨大な目に見えぬ曲線と軌道といったものが存在するのだ、

――こういう思想にまで、われわれは自分を高めようではないか!


 だが、あの崇高な可能性の意味での友人以上のものでありうるには、われわれの人生はあまりにも短く、われわれの視力はあまりにも乏しい。

 ――されば、われわれは、互いに地上での敵であらざるをえないにしても、われわれの星の友情を信じよう。

—————————————————————————————————————


★ 

 曲紹介なのに、話がそれてしまいました。

 この曲では、「今」を重視していますね。未来なんてわからないから今を大切にする。これもすばらしい思想ですよね。

 あのとき、「また明日」、「またね」と言えたあの日々に幸せだなと気づけたなら、私たちはきっともっと豊かに生きることができたかもしれないと思いました。

 

 1番サビ後の、「もうちょっとだけ 頑張れそうよ」という歌詞が、一番好きです。



 羊文学。私の音楽史の中ではほんとうに最近になって登場したアーティストです。もっとも古いのは、社会人1年目の「マヨイガ」とそれに続く「光るとき」。これからも末永く聴いていきたいと思うアーティストの一つです。

 

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