第24話 邂逅!強敵!
一か月後
「ソフィー!そっちオーク行った!」
「了解!」
私の目の前にはウェアウルフが二体、それとソフィーの方にオークとゴブリンが三匹。
数的不利を背負ってはいるが経験を積んできた私たちなら問題ない。
まずは一匹、ウェアウルフを打ち抜く。
私の錬金術の実力が上がったこともあり、武器は火縄銃からリボルバーまで進化した。とはいえ威力では若干劣るので改造も施してある。
まず一発、右前方にいたのを仕留める。
「次......って弾詰まった!」
「大丈夫!?」
「うん!こっちでなんとかできる!」
足りない威力を補うため以前よりも強化した火薬を採用したのはいいがたまに詰まるようになってしまった。
一か月前の私なら死んでいたかもしれない、だが今の私は一味違う。腰から短刀を引っ張り出す。この前大枚をはたいて買ったミスリル製、切れ味は保証されている。
ゆっくりと冷静に、相手が突っ込んでくる軌道に合わせて、倒れながら剣を置くように切る。ミスリル製なだけあって、するっと刃が入っていき、私の後ろには真っ二つになったウェアウルフが一体転がっていた。
「ふぅ、なんとか、なったかな」
私が息をついて床に座り込んだ瞬間、ソフィーの方から剣が飛んできた。
「ひゃっ!?」
後ろを振り返るとそこには頭に剣が突き刺さり絶命しているゴブリンが。
「危なかったわね、油断はよくないってこの前も言ったじゃない」
「あはは、ごめん。気を付けるね」
ソフィーが呆れながら私に手を差し出す。
私がウェアウルフを二匹倒している間にソフィーは三匹とも仕留め終わっていたらしい。ソフィーの後ろには頭から上が綺麗になくなった死体が三匹、あとは素材を剥いだら帰ろう。
「今日は結構集まったね」
「そうね、少しでも完成に近づいたらいいのだけど」
あれから一か月、いまだに原初の泥は完成していない。
比率が悪いのか、素材になにか条件があるのか、一応スキルでこっそり確認しながらやっているのに成功しない。
気長にやるしかないのはわかってるけど、少し焦っている。
「何が足りないんだろうね、惜しいところまではいったのに」
「そうねぇ、一つ候補として、素材のランク不足とかじゃないかしら」
「素材のランク?」
「ええ、例えばゴブリンとオークでは素材の価値が違うみたいに、素材元の生物の強さによってランクみたいなのがあるのよ。例えばドラゴンなんかは高ランクの素材ね」
ドラゴンの素材、それがあれば完成するのだろうか。
でも今までドラゴンなんて一度も出会ったことがないし、本当にいるのかなぁ。一か月もやってたら見かけるぐらいはありそうなのに、ここには一匹もいない。
「まぁ、気長にやってくしかないよね」
「そうね」
素材を担いで私たちが談笑していると、大きな影が差す。
雲なんてなかったはずだと上を見上げると、大きな体に翼をもつ魔物が私たちを見つめていた。その巨躯、翼、鱗、間違いない。
「ドラゴッ」
「ノルン!危ない!」
ドラゴンが突進してくるのにいち早く気付いたソフィーが私を突き飛ばす。
地面に倒れた時打ち所が悪かったのか、ふらふらする。
吐き気もするし、視界もはっきりとしない。
「ソ、フィ」
だめだ、ここで倒れたら、ソフィーを守れな、い。あそこでソフィーがなんとか戦っている、倒れている場合じゃないんだから。
立たなきゃダメなのに、意識が薄れていく。
「ソフィ、逃、げ」
その言葉を最後に、私は意識を失い、地面に倒れた。
「はぁっ!」
勢いよく目覚める。
周りを見渡すと、今私がいるのがソフィーの家だとわかった。どうやらあの後、生きて帰れたらしい。隣でソフィーも寝ている。
私が状況を確認しようとすると、ソフィーが目覚めた。
「あっ、ソフィー!あの後、何があったの!?ドラゴンは!?ソフィーは無事だったの!?」
「んん......ノルン、ドラゴンって、何のこと?」
「......えっ?」
なにか異常なことが起きているみたいだ。
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