第17話 完成!ゴブリン装備!

朝、目が覚める。

いつものように朝日で目が覚めるけど、隣にはソフィーがいる。それだけで今日がなんだか幸せになりそうな予感がする。

もう少しソフィーの寝顔を眺めていたかったけど、昨日のご飯のお返しに朝ご飯を用意したいので惜しみつつ布団からこっそり出る。


「ん~、何作ろうかな」


ソフィーとの会話をどうしようとか色々考えなきゃいけないけど、朝ご飯の用意で脳みそを一杯にしてとりあえず忘れることにした。数時間後のことは数時間後の私が何とかしてくれるはずだからね!


「うーん、これだけ色々あるなら何でも作れそうだけど、あれにしようかな」


私は錬金術を利用して作られた冷蔵庫からトマト、昨日のあまりのブルスト、パン、玉ねぎ、そしてチーズを取り出す。

そう、今日の朝ごはんはピザトーストだ。

ソフィーには私の好物を知ってほしいし、できたら好きにもなってほしいから頑張るぞー!!

さっそく私はトマトの皮を湯向きしてみじん切りにする。

種は取り除きたいけど面倒なのでそのまま、じっくり煮込んだ後は塩と胡椒で味付けしてとりあえずトマトペースト完成!

一番面倒な作業が終わったのであとは切って乗せて焼くだけだ。

玉ねぎは薄くスライスして少し多めに、ブルストもチーズをのせるとき邪魔にならないよう薄くスライス。

あとは焼くだけではあるんだけど......どうしよう、私ははたしてオーブンを使わずにピザトーストを焼けるのだろうか。

いやまぁ一応窯はある。だけどオーブンほど便利じゃないのだ。


「いやいや何言ってるんだ私!ここであきらめちゃだめだろう!」


私はとりあえず自分の分で試してみることにした!



「それで、この大量のパンは試行錯誤の結果、と」


「ごめんなさーい!後で弁償するから許して~!全部私が食べるから~!」


はい、まあびっくりするぐらい失敗した。

一枚目は火加減を失敗して黒焦げ、二、三枚目はちょっとマシになったけどチーズが焦げてた。

四枚目でようやく火加減を覚えてうまく焼けたので、ソフィーに渡すのはそのうまくできたものだけで、私のは黒焦げが一枚と、チーズが煤になったのが二枚......

因果応報とはいえひどすぎる......


「はぁ、一枚その焦げたやつ食べるから、頂戴」


「えっいやいいよ、私が作ったんだし」


「何言ってるのよ、私が食べたいのよ、ノルンがせっかく作ったんだから、失敗も含めて食べさせてほしいわ」


ソフィーが正面切ってそんなかっこいいこと言うから照れてしまう。

ダメダメ!隠すって決めたんだから!


「じゃあ、この一番マシなやつ、お願いします......」


「はい、じゃあいただきましょ」


私は申し訳なさからだんまりして食べていたので昨日の夜ほどは会話も進まなかった。

ぐぅぅ、気まずい。けど私が悪いから、仕方ないよね。


「昨日のことだけど」


まずい、もっと気まずいのが来た。

なんて返せばいいんだ、てか前世で恋愛経験がないせいで振った相手となんて話したらいいかわからない!


「気にしないでいいから」


「え?」


思わず聞き返してしまった。


「気にしないでいいから」


「えっ、と」


ソフィーの顔が若干こわい。そんなに脅さなくても触れるつもりなかったのに!


「いい?昨日はなにもなかった。はい復唱!」


「昨日は何もありませんでした!」


「よし、そういうことにしておきましょうね」


なにがなんだかよくわからないがそういうことらしいので私は無視することにした。

こういうのがあとで厄介なことになるのはわかってるのに!でも今の楽さが心地いいから仕方ないよね!


「それで、ゴブリン装備のことだけど、ノルン貴女素材についているスキルのことって知ってるかしら」


一応知っている。

この世界の魔物の特性は主にスキルと呼ばれるものが原因で発生する。

例えばゴブリンやウェアウルフといった群れる生き物は強化【群】というスキルを持っているので群れているほうが強い。

そしてスキルは死んだ生物にも残留しており、それを装備にどれほど生かせるのかが重要になってくる。


「まぁ、基本的なことは......」


「そ、ならよかった。今回の素材のゴブリンだけど、群れをつくることで強化されるスキルを持っているの」


「あ、それは聞いたことがあります」


「だったらノルンはスキルの発動条件、およびスキルの効果を向上させる方法は知ってるわよね」


これも知っている。

スキルの名前の後についている【】の中はスキルの発動、効果の強化条件を簡単に表したものだ。

だから強化【群】を使ったアイテムなら同じスキルを持った装備をたくさんつけるほうがいい。

まぁもちろんスキルの強化には限界があるのである程度素材をばらす必要はあるが。


「たしかゴブリンで作る装備なら同じ装備をたくさん着ればいいんですよね」


「そう、でもそれってちょっと面倒じゃない。だから私は考えたの!天ッ才的な発想を!」


「その、天ッ才的な発想とは......」


「よく聞いてくれたわね!そう、それはこれよ!」


ソフィーが奥の方へ行って一つの服を持ってくる。

見た感じただの服っぽいけど、なにが違うのだろうか。


「これはゴブリンの皮を使うことによって完成した!ゴブリン服よ!こうやって二重構造で作ることで通常の鎧よりスキルの強化を強くできるの!!」


二重構造の服、そうか、それだったらそこまで重くならないうえにスキルの条件も満たせる!

原作ではそんなものなかったから、私には思いつかなかった!


「もちろん鎧に比べたら防御の方に若干劣るけど、私たちの現状を考えるとそっちの方がいいわ!」


そう、忘れがちだが私たちは進行形で法律を犯している最中だ。

つまりこの服だったら外に出てもただの外出だって疑われないし、その上普通の服よりよっぽど丈夫だ。


「これなら疑われにくいしなおかつ性能も良いってことだよね!」


「その通り!これで群れ相手の狩りもやりやすくなるわ!」


「すっごい!ソフィーやるじゃん!」


ソフィーはそれはもうものすごい笑顔で高らかに言い放つ!


「当ったり前よ!この私を誰だって思ってるの?私は史上最高の錬金術師になる女!ソフィーリアなんだから!」


ソフィーがちらちらと私の方を見る。

どうやら何かを望んでいるらしいが、とりあえずほめればよいのだろうか。


「さすがソフィー!天才!かっこいい!大好き!」


ソフィーが顔を真っ赤にする。

あっ、やっちゃった。隠すって思ってたけど、やっぱり本心だから無理だー!!

私たち二人とも顔を赤くしていったん場が静かになる。


まぁ、装備はできたから次は武器制作だ!こっちは私の方が長くやってるんだから!いいところ見せるんだからねー!!

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