第14話 念願のデート!後編! その②

私がソフィーを連れてやってきたのは初日に錬金釜(故障してる)を買った店だ。

初日は興奮で忘れていたがどうやら店の名前はウエルネスのおもちゃ売り場というらしい。

ゴリトスの腕力チキンといいこの世界ではどうやら名前と店の売りを合わせるのが店名の流行りらしい!なんかすごい異世界感!


「しつれいしまーす」


「いらっしゃーい!ってだいぶ前にきた嬢ちゃんじゃねぇか」


「ノルンはここに来たことがあるのかしら」


「うん、一か月前に一回だけね」


どうやらウエルネスさんは私のことを覚えていたらしい。多分この若さで錬金釜みたいな高い買い物は珍しかったのかな、全然関係ないけど店員さんに覚えられてると店に来にくいよね!


「覚えてたんですね、私のこと」


「おう、珍しい客だからな。嬢ちゃんみたいな若い子があんな羽振りがいいなんてめったにないだろ。だから今回も、期待してるぜ」


うぅ、ウエルネスさんの眼が痛い。これ絶対たくさん買わないとだめな奴だ。


「あはは、か、考えておきます」


ウエルネスさんとの会話もそこそこにソフィーと商品を物色する。

売り物は変わらずおもちゃとか人形とかそういったもので、錬金釜はもうないみたいだ。


「ソフィーは何か欲しいものあるー?」


奥の方にいるソフィーに話しかけるが返事がない。

気になって奥の方を覗くと、とある人形の前で立ち止まって見つめ続けているソフィーがいた。

私はこっそりソフィーの真後ろに近づいて、声をかける。


「ソーフィッ!」


「!?......ノルン!ちょっと驚かさないでよ!?」


「ごめんごめん、それ、気になってるの?」


ノルンが眺めていたのはちょっとおバカっぽそうな熊の人形だ。

へぇー、かわいいけど、ソフィーがこういうの気になるってなんか意外だなー。


「えぇまぁ、ちょっとね。ほら、ソフィーに似てないかしら」


「え、これが!?ソフィーひどくない!?」


いや確かに私同様かわいいけどさぁ!ちょっとひどいよ!?

私が「これと私が似てる......」とショックを受けている姿を見てソフィーは思わず笑ってた。ひどい!


「ソフィーひどいよぉ!」


「ふふ、ふふふごめんなさい、でもあんまりに面白くって」


「もー!」


私は一通りソフィーの笑いが収まったころに、提案をする。


「ソフィーそんなにそれが気に入ったならさ、私買うよ。それ」


「そんな、申し訳ないわよ。さっきのチキンも私払いだったじゃない」


「いいんだよそれぐらい!私はソフィーが大好きなんだから!大好きな人のためならこれぐらい惜しくないね!」


ソフィーが顔を真っ赤にする。さっきからなんだか変だけどこんなソフィーもかわいいなぁ。


「ノルンさっきからちょっと大好きっていいすぎよ!」


「えー?だって本当に大好きだもん!ほら、ソフィー行くよ!会計しなきゃ!」


ソフィーの手をつかんで会計をするところまで連れていく。

なぜかソフィーは私が手をつかんでからずっとうつむいていたけど、照れちゃってかわいいなぁ!


「おじちゃんこれ頂戴!」


「おう、じゃあ5000ドルクな!」


むむ、ちょっと高いがソフィーのためだもん!ええい払っちゃえ!

私の財布は、だいぶ軽くなっていた。金欠ってつらい!

プレゼント用なのでラッピング(無償)をしてもらって店を出る。その間ソフィーは黙っていてばかりだった。


「はいソフィー!プレゼント!」


「.......あり、がとう。それで、あの、ノルン!」


「ん、なぁに?」


「さっきの大好きってやつだけど、私、も、大好き、よ」


あれ?なんだか空気が変じゃない?

私ソフィーにプレゼントしただけだよね!?あ、でもソフィーに大好きって言われてうれしい!


「そ、それだけだから!じゃ、じゃあ!」


ソフィーがどこかへ駆ける。って夕ご飯のための材料は!?買いに行かないの!?


「ソフィー材料はー!?」


ソフィーが一瞬立ち止まってこちらを振り向く。


「わ、私が用意するからまたあとで私の家に来て!」


そう言い終わると私が返事をするよりも早くソフィーはどこかへと消えていった。なんだかよくわかんないけど喜んでくれたみたいだ。よかった。

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