8月30日 月曜日 曇り
お母さんが言うには、僕たちはおじいちゃんとおばあちゃんのいる家に行って、そこで暮らしていくことになるそうです。
もともと、その予定だったのだとも聞きました。
クラスメイトにそのことを伝えたら、とってもがっかりしていました。
「いっしょに行けたらいいのに」と言いました。
お母さんはとっても行動力があるので、準備ができたらすぐに行こうと言っていました。おじさんは、そのことを聞いたら、
「仕方ねえけどよ、あんまりせかせかしなくてもいいと思うぜ、明日まではここにいろよ。」と話している声が聞こえました。
そのあと、おじさんがこっちに来て、「よ、元気か」と声をかけてくれました。
「おじさんはおじいちゃんとおばあちゃんのところに行かないの?」と聞くと、
「まー、仕事落ち着いたらちょっとくらい居候しに行くだろうが、家が何とかなったらまたこの辺りに住むだろうよ。だから、なんかあったらおじさんちにまた来いよ。江の島もそのうちな。」と言ってくれました。
江の島に行こうとしてたこと、すっかり忘れていました。
それ以上にいろんなことがこの夏休みは起こりました。分厚い雲を眺めていると、ちょっとだけ僕のそばにいるポックルと違うポックルさんを思い出しました。
「おじさん」
「ん?」
「ポックルさんっていう、髪の長くてきれいな人知ってる?」と、聞いてみました。
「ポックル?その人形だろ、他は知らねえな」と言われてしまいました。
「覚えてないの?水車とかある、すごくきれいなところに行ったことないの?」と言うと、
「覚えてることって意外と少ないもんだ。お前もそのうち忘れた思い出がたくさん増えてくんだぞ。あれはいつどこで買ったかとかメモしろよ。」
と言っていました。でも、そのあと、おじさんは、「ポックルさんね、確かに、懐かしいねえ。」とつぶやいているのが聞こえました。
おじさんが、なんで嘘ついたのかはわかりませんでした。
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