第3話

 町を襲う魔物に対抗するため、ユイは竜の力を借りた新しい治療法や、レオンは魔物に対抗するための特殊な薬や機械の開発に試行錯誤を重ねていた。

「この胞子は、通常の解毒薬では効果がない。竜の体内にある特殊な酵素を活性化させる必要があるわ」 ユイは、顕微鏡を覗き込みながら、眉間に深い皺を寄せて呟いた。その声は、乾いた砂漠に降る、待望の雨のように、しかしどこか焦燥を含んでいた。隣でレオンが、自身の開発した試作の機械から奇妙な光を放つ薬液を取り出す。「これも、まだ安定しない。魔力の流れが一定しないんだ」。彼の指先は、まるで熟練の彫刻家のように、繊細な作業を繰り返す。しかし、その動きには、無限にも思える反復作業による疲弊が滲んでいた。

 だが、新たな魔物が出現するたびに、彼らの開発は振り出しに戻る。より強靭な外皮を持つ魔物、より巧妙に幻影を操る魔物、そして、以前よりも深く精神に干渉する魔物。「また、これか……!」レオンの苛立ちが、機械の歯車が軋む音のように響き渡る。それは、久留米の旧い工場地帯から聞こえてくる、機械の連続音にも似て、終わりが見えない反復を示唆していた。

 何度も失敗と改良を繰り返す、無限のループに陥っているかのようだった。薬液を調合するたびに、ユイの手は様々な薬液で汚れ、時には刺激性の強い薬品で肌が荒れた。その手は、まるで歳月を経た書物のように、積み重ねられた試行錯誤の痕跡を刻んでいた。レオンの手もまた、油と金属の粉で黒ずみ、細かな傷が絶えなかった。彼の指先からは、常に微かな鉄と機械油の匂いが漂い、それが彼の苦闘を物語っていた。彼らの体は疲弊し、目の下には深い隈が刻まれていた。睡眠は不足し、食事もままならない。それでも、彼らは止まらなかった。まるで、嵐に翻弄される小さな船のように、それでも僅かな光を目指し、帆を張り続ける。

 ユイは自分の能力の限界と、レオンとの連携の重要性を痛感した。彼一人では、魔物に対抗する策は練れても、竜を癒すことはできない。ユイ一人では、竜を癒せても、魔物を根本から排除することはできない。二人の力が、まるで一本の螺旋のように絡み合い、互いを高め合っていく。それは、久留米の筑後川の合流点のように、二つの流れが一つになって大きなうねりとなる、必然のような連携だった。彼らの間には、言葉を超えた理解が生まれつつあった。互いの視線が交錯するたびに、静かな決意が共有されていく。

 この無限にも思える試行錯誤の輪の中で、彼らは確実に、しかし緩やかに、絆を深めていた。疲弊しきった夜、レオンが淹れた苦い薬草茶をユイに差し出す。その香りは、疲れた体に微かな温もりをもたらした。ユイもまた、レオンの隣で眠るようにして仮眠をとる竜の呼吸を静かに見守り、彼のために最善の治療法を模索し続けた。それは、終わりの見えない戦いの中の、束の間の静寂であり、互いの存在だけが、確かな希望の光だった。

 町を襲う魔物に対抗するため、ユイは竜の力を借りた新しい治療法や、レオンは魔物に対抗するための特殊な薬や機械の開発に試行錯誤を重ねる。しかし、新たな魔物が出現するたびに、開発は振り出しに戻り、何度も失敗と改良を繰り返す無限ループに陥る。この過程で、ユイは自分の能力の限界と、レオンとの連携の重要性を痛感する。彼らの手は油と薬液で汚れ、体は疲弊し、目の下には隈が深く刻まれる。

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