夜の片隅で



 あなたは指揮者

 多彩な音を生みだすのも

 静寂を呼びよせるのも

 思いのままにできるから

 わたしはこの楽団の片隅に

 存在することができるなら

 生きる上で生じる

 多少の不満はもう口にしない




⭐︎



ライブでした。開場待ちの間、椋鳥の群れが夕空を旋回していて、わたしはそれを眺めていました。

わたしは祖母が亡くなったのもあり、我らのボーカルさんがメニエール病を発症したとのことで心配しているのもあり、心情としてはあまり元気にいこうという気にはなれず、静かに開演を待ちました。

さて、開場から暗転、メンバー入場。一曲目「濤声」という曲で、これは自分の大好きな曲なのですが、再現される音楽の美しさにただただ胸を打たれました。

「デビルインミー」も良かった。ジョンゲイシー、不憫な人よ。

「響」も聴けて嬉しかったが、個人的に一番圧倒されたのは「絶縁体」でした。あまり感情移入できないし、歌詞の意味自体は理解できても、「曲」としてはなんだか掴めない、理解できないという印象だったのですが、今回のライブを通じてはじめて「そういう意味だったのか」と知ることができました。そして、曲に込められたその意味というのは、自分にとってもひどく馴染み深いものでした。

あとよかったのは「クレバー」。音が非常に立体的で、音楽の中に迷い込んだかのようでした。「第三帝国」も楽しかったし、「朔」も異常なほど楽しかった。

DIRが好きですけど、バンドそのものが好きなのは大前提ですけど、わたしはほんとに京さん好きなんだなあと思いました。わたしはよく泣くタイプなので、本読んだり、こんなふうにライブを見たりするとけっこうすぐ泣くんですが、歌ってる京さんがあんまりにかっこいいので泣いてました。たぶん、無条件に好きなんだと思いました。学生の頃は、「好きなタイプの男性は?」と聞かれるたびに「ディルアングレイの京さんです」と答え続けていたわけですが、わたしにとってはやはり何者にも代え難い人なのだと改めて気付かされましたし、諸行の無常さは痛いほど知っているつもりなのであまり安易に口にしたくはないですが「一生ついていきます」と思いました。

そろそろ祖母の三七日です。二一日か、早いなあ。今日も若干、ざわざわすることがあり、テンションの下がるようなこともありましたが、以前のように、激昂したり、悲しんだり、マイナスな感情に堕することなく過ごせました。なぜかというと、DIR EN GREY、あなたが存在し続けていてくれているからであり、京さん、あなたが歌い続けてくれているからです。


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