金髪ギャルの御堂さんは、地味で無口な文乃ちゃんが気になって仕方がない。

小坂あと

プロローグ









 雨が降ると、思い出す。


 湿気が舞い、色とりどりの傘が花開き、自然の粒たちが踊る初夏のぬるさに包まれた、あの日を。


 出会っていたはずなのに認識すらしていなかった、あの頃を。


 ふとしたことがきっかけで、クラス端の微かな存在に気が付いたあの瞬間を。


 ボサついた黒髪が隠す白い肌を。


 猫みたいにまん丸で尖った瞳を。


 小さくて無口でかわいい唇を。


 本をパラパラと捲る横顔を。


 照れると熱くなる頬を。


 胸を刺す、泣き顔を。


 今でも忘れない。


 葉山と、初めてキスをしたあの感触を。


 一本の置き傘から始まった出会いが、すべての始まりだった。


 ねぇ、葉山。


 愛してるよ。


 今も、昔も。


 この先も、ずっと。


 高校2年の夏、あなたに会えたその瞬間から。


 あたしの人生は、変わったんだ。

 







 






 

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