【番外編】三ケ所神社(海馬をつかさどる神社)①

三ケ所さんがしょ神社ですか?」

 秋の半ば。すっかり肌寒くなった今日この頃。俺は平常運転でコンビニバイトをしていた。

 同じシフトの扇が俺と同じく陳列しているときに聞いたこともない神社の名前を口走った。

「そうそう。来年お前受験生だろ。お前は物覚えが悪いんだからその神社に行って効能貰ってこい」

 余計なお世話だと思いつつ、そこはどこだと訊ねると、

「宮崎県」

「九州じゃないですか!」

「バイトのシフト調整してやるように店長に言っておくからさ。行って来いよ」


「何の話をしているのかな?」

 重くのっそりとした声が響いた方へ眼を向けると、夜勤業務をワンオペで入るのが日課になってしまっている島本店長が立っていた。鬼の形相で。


「いや、神社の話しをしていたんですよ。記憶力にいい神社があるぞ、って。ほら、こいつ来年受験生でしょ? だから行ってきたらって」

 島本は二度頷き俺の肩を叩いた。

「シフト、調節してあげる。受験頑張って。……あ、あと君はどんな大学を目指しているのかな」

「一応、国立ですけど」


 そうしたら島本も扇も大笑いした。おいおい、かなり心に傷がつくんだけど。


*****


 帰りのバスの中で三ケ所神社について調べていた。そこで俺は気分転換に燐と悠馬と一緒に行こうと思う。ラインでそれぞれ誘う。

 だがこのときある少女の存在が引っ掛かった。それは二人も。

 一人、大辺南。

 二人、新浜花林。


 二人も誘うしかないか。同じ文面をコピペしてその二人の女子のラインに送った。するとものの数分で返信が返って来た。返答は了承、とのこと。


 俺は大きく背に身体を預けて瞼を閉じた。


*****


 10月23日。成田航空から宮崎航空までのフライト便チケットを取れた俺たちはロビーを歩いていた。

「なあ。本当に俺まで来ていいの?」

 悠馬が申し訳なさそうに言ってきた。

「どうして?」

「だって。俺が抜けたらお前実質ハーレムじゃん。両手にあふれんばかりの花じゃん?」

「おう。じゃあ今から帰るか?」

「いっ、いやいや」

 彼が勢いよく首を振る。


「まあ、本当はこの中で他人なのはお前と花林だけだからな」

「えっ、ああ、そういえばそんなこと言ってたな。南さんお前の義理の兄妹だって」

「そういうわけ」


 受付ロビーにチケットを提示して俺たちは飛行機の中に乗り込んだ。

 そして生憎、俺の隣の席は南だった。

「お久しぶりですね。元気にしてましたか? 食事はきちんと食べられていますか?」

「お前は俺のオカンか」

「なんでやね~ん」

「……は?」

 意気揚々と西の旅行ガイドブックを鞄から取り出しそれを捲りながら、

「道頓堀は良いですね。あっ、たこ焼きとお好み焼きはマストですよ。で、どこから回りましょうか」

 俺は頭を抱えて彼女が持っていたスマホを指差した。

「スマホの文面、よく見てくれ」

 少し眉を顰めて彼女が自身のスマホのラインのチャット履歴を確認した。すると彼女が顔を真っ赤にして、手で顔を覆った。

「どうする? 関西行きのフライトに変えてもらうか?」


「もう言わんといて~」




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