第10話 迷宮を制圧したい!
迷宮は階層毎に印象が全く違った。ここは微かに紫に照らされているが、それでもまだ暗く、天井が見えない。少し重力が強いのか体が重い。そんな迷路だ。
「右だと思う? それとも左?」
「右カナ」
ゴブリンと話し始めた時にスキルを取得した。彼はテイムされた扱いになっている。彼の言う通り右に進んだら重厚な扉を発見した。ボス部屋前だ。
「おー、ナイス!」
5階層目付近から勢いで迷宮を制圧すると言ったことを後悔している。理由は二つ。一つ目は単純に階層が下がれば敵が強くなる。階層の終わりにボスがいるのだが、そのボスの強さの敵が次の階層を徘徊している。
「えっと、何階層目だっけ……ここ」
「8階層目」
二つ目は階層が多い。階層が多ければ多い程、先程の一つ目の理由を繰り返す。敵が強くなる。一つだけ良いことがあるなら、迷宮内は魔力が豊富で体を維持する魔力をとても軽減できることだ。
「ここが8階層目のボス部屋か」
「多分負ケナイ。ガンバレ」
禍々しい魔力を放出している扉を開ける。中の翼の生えた狼に睨まれる。睨み返す。狼は怯んだ。その隙に毒裂きを五発ぶち込む。狼は反撃しようと向かってくるが、毒にやられて絶命。あの効き具合は耐性を持っている気がする。
「何度見ても不思議だ」
「魔石化カ?」
そうそうと、頷く。迷宮内の魔物は死ぬと死体を残さず、灰となり散る。その時に強さに応じた大きさ、色、輝きを持つ魔石を落とすのだ。もちろん地上の魔物は死体を残して死ぬ。ラッパが響く。
「やった、Lv上がった」
「オレモ上ガッタ」
テイムしたお陰で経験値は彼にも少し与えられる。やっとSPが必要な分溜まった。これで異空間収納・毒界を取得できる。アイテムボックスの毒版みたいなスキル。毒系スキルに該当するため、75%カットされている。
異空間収納・毒界 (消費SP:375)
異空間収納・毒界で今までの魔石を収納する。手が塞がってないって最高。ちなみに半分弱ゴブリンに持たせていた。
少し時間が進み、現在10階層目。余裕でボス部屋到達。やっぱり期待外れだ。もっと苦戦を強いられる敵に出会うと思っていた。あまり乗り気じゃないが、扉を開けると紫色の触手が視界の中心を埋める。触手の一つが近付く。
「ッ!! アルジ! 頭ガ!!」
「大丈夫だよ。そこのお前、不意打ちは卑怯だよ。卑怯者に罰を与えないとね」
今更ながらこの迷宮は毒をイメージしている。このゴブリンもあのボスも今までの徘徊魔物も大体が毒属性だ。そこであるスキルと称号を思い出して欲しい。
「毒素偏向」
毒素偏向、その効果は毒属性のみになってしまうが、敵意を持った攻撃の全反射。
「その反射はただの反射じゃない。一切の防御不可の反射だ」
毒王の継承者、その効果は三つあるんだが、今重要なのは一つ。毒の耐性と無効の無効化だ。
「毒使いは僕以外に要らないよ」
そうして僕は迷宮の最終ボスを攻撃せずに瞬殺した。不意打ちをして間抜けに瞬殺された拍子抜けなボスだった。
「マサカ本当ニ制圧デキルノカ……?」
10階層ボスの魔石を収納する。その時、簡素だが、荘厳な門が現れる。音を立てながら派手に開いた。今まで以上に異様な雰囲気に彼は怖気付いている。そう言えば彼の名前を聞いていなかった。そもそもあるかすら怪しい。訊いてみよう。
「君、名前は何て言うの?」
返答まで間が空く。そんな悪いことを訊いただろうか。それとも名前を聞くなら先に自分が言え、ということなのか。
「オレニ名前ハ無イ。悪カッタナ。ソウ言ウアルジノ名前ハ?」
「僕は藍だよ。あ、名前僕が付けて良いかな? 駄目って言っても付けるけど」
彼は顔を引き攣らせた。そんなに嫌だったのかな。でも名前は付けるけど。僕のネーミングセンスを最大限まで生かした名前だから、安心できるよ。
「君は今から、ミグレスだ!」
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