第6話 選んだ道は人のせいにしない

桜の花びらも落ち、緑鮮やかな葉っぱが寂しい様な、これから来る温かい日を歓迎しているようなそんな頃、図書館の本を黙々と読み続け、私は六年生になった。


私が家で勉強していると、ママが

「リズム勉強なんてして何になるの?

ママなんて勉強してなくても、大人になれるんだから!

そんな暇あったら家の手伝いでもしてよ!」

私は教科書を閉じだ。



久しぶりにベンチに座りたくなった。

しばらく座っていると、

「横、空いていますか?」

見上げると光さんが私の顔を見てニコリと笑った。


「はい、開いています。」

私も光さんの様に他人のように話した。


心地よい風が今日は吹いていた。

しばらく無言が続いたが、光さんがようやく


「美音ちゃん、どうかした?」


私は一文字の口を開いてみた。

「ママがね。勉強しても無駄っていうの。」


「美音ちゃんは、将来なりたい職業ってある?」

私はしばらく考えて首を横に振った。


「やりたい夢や職業があって、勉強が必要なければ、

そっちに時間使った方がいい場合もあるしけど、

勉強しておくと、もしなりたい職業や自分がしたいことが

見つかった時に勉強ってとても為になると思うの。」


「でもママが勉強に意味がないって。」


「どんな仕事についても、知識があったら得だと思うし、その仕事ではない仕事をする時がきたら。知識が有る無しでは、学びが多い人のほうが、うまく行く事が多いからね。

時間があると時に、勉強しないのは時間の無駄になる事もあるけど、学ぶ事は無駄には絶対にならないから。

大人になって、勉強して、賢くなるのは大変苦労するけど、若い頃の吸収力はずばらしいから、今からが時間をどう使うかが大切な事なの。」


私はママが正しいのか光さんが正しいのか、

少し分からなくなった。

私にはどっちも正しく感じたからだ。


光さんは私の顔を覗き込んで、私の心を読んでいるかの様に話し出した。


「どちらが正解なのかは人それぞれなの。だから、いろんな意見を聞いて、自分が決めた思いに行動すれはいいのよ。

私も子供の頃はママの意見が全てだったから、

分かるのよ。

ママの意見って、偉大なの!

でもずっと、ママと一緒にはいれないし、

自分で学んで、ママの意見を頭の中で選択できる人にならないといけないの。

そして、ママのせいや人のせいにしない事、だって、選らんだのは、自分自身なのだから。」


光さんの言葉は私にはすごし難しい。

でも、分かった事はいろんな人の意見を聞いて、自分で選ぶ事だ。

そして選んで失敗しても人のせいにしないこと。



「美音ちゃんはどうしたい?」


私は少し考えた。今の事を考えたら、ママの意見の方がいいし、

先の事を考えたら光さんの方がいい気もした。


私は光さんに質問した。

「お勉強頑張ったら、ママに美味しいごはんや、ママの好きな服やバックを

沢山買ってあげられるかな?」


「もちろんよ。ママに美味しいごはん食べさせてあげられるし、

好きなもの買ってあげられるよ。

美音ちゃんのすきな物も買えるしね。」


「私、どうやって勉強したらいいか分からない。ママもあまり私が勉強したら嫌がるし、なにより、私には、勉強する所や参考書があまりないもの。」


「それだったら、図書館で勉強スペースがあるからするといいよ。

あと教科書はあるでしょ。教科書を読んだり書いたりして覚えて授業を受けると復讐になっていいし、そして授業を受けたら図書館でもまた教科書を読み返す。

分からないところがあれば全てではないけど、図書館でしらべられるしね。

私でよければ勉強教えるしね。」


そうだ、私は将来の目標は勉強して、忙しいママを楽になせてあげる事だ。

そしたら、ママも私と過ごす時間が増えににきまっている。


私は久しぶりに勇者になった。

〈私は旅の途中で光さんと言う仙人の下で強くなる修行をしているのだ。

いつか、ママを助ける為に強く賢くならなくてはいけない!〉

私は本を読みおえたら、図書館の勉強机で、勉強することにした。





あの日から私は図書館で勉強をし始めた。困った事に教科書はあるが、書くノートや鉛筆が少ないので、私は少し困っていた。



そんな時、光さんがベンチに私を誘った。


「ここに座って、

美音ちゃん。最近頑張って勉強しているから光さんからご褒美。」


かわいい袋を私にくれた。


「ありがとう。開けてもいい?」


「どうぞ!」

袋をあけると、ノートとかわいいシャーペン

とシャーペンの芯と消しゴムと赤色のペンと黄色のマーカーペンが入っていた。


「わー。光さんありがとう。私これで勉強頑張る。」

「これぐらいなら、してもいいかな?と思ってね。頑張る人を応援したくなっちゃうのよね!」


光さんは、私のママに遠慮して、物を私にあげるのは辞めているようだった。

料理も作って私に食べてほしいそうだが、おにぎりで我慢しているらしい。

でも、今回は特別だそうだ。


私は嬉しくて立ち上がり、ベンチの前でクルクルと周った。


光さんも喜んでいる私を見て笑ってくれた。


「美音ちゃん。これからも、美音ちゃんの心の声を光さんには口に出して教えて欲しいの。

私も美音ちゃんに遠慮なくあってるかはわからないけど、

私の思いを話すからね。

でも、絶対私が正しいとは私も思ってはないの、

でも私の考えや思いはや美音ちゃんには

はっきり、遠慮なく言うから

美音ちゃんも遠慮なくいろいろ話してね。

お互いの約束ね。」


私は心の声を口にだすのが苦手だったけど、

このプレゼントが嬉しくて、嬉しくて


「うん。約束する!」


と軽々と契約を結んでいた。


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