第6話 剣聖vs聖女
「私が【聖八武天】への加入を断ったためですか?」
ミヤビの剣撃を防ぎつつ、私は問いかける。
「いえ。どちらにせよ、あなたは強すぎるので。抹殺する必要はあると思っていました。剣聖は代々、どの国にも種族にも属さない。中立不偏。でもそれって、私の世界征服にとっては邪魔でしかないんですよねぇ」
ミヤビを蹴り飛ばし、ウルスラの両腕を狙う。
大聖女が私の剣速に反応できるわけがない。このまま戦闘不能に追い込む。
だが、斬った腕にはまるで手応えがなかった。
「おかしいですね。確実に斬り落としたはずなのですが」
「おかしいですね。確実に刀身を溶かしきったと思ったのですが」
ウルスラは私の口調を真似てみせた。ウルスラの不自然に伸びた腕からは粘液が染み出している。これは、スライムの粘液か。それも、最上位のポイズンスライムのもの。身体にスライムの細胞を取り込み、切断面から私の剣を消化しようとしたのか。
ウルスラはガルーダの翼を生やし、空に舞い上がる。一体どれだけの異種族の力を取り込んでいるのだ?
あらゆる種族のいいとこ取り。教会が15もの種族を従えたのは、このためか。
対してこちらは、不殺というハンデつき。人眼なら急所を見抜き、確実に隙を突くことはできる。だが、それで相手を即死させるわけにはいかない。難しい戦いになる。
だがそれがなんだ?
これまでの人生、簡単な戦いのほうが少なかった。難しく厳しい戦いなど、いつものことだ。
「さて。もう私が相手する必要もないでしょう」
大聖女ウルスラは飛び去ろうとする。代わりに、白衣に身を包んだ八人の近衛兵が現れた。仮面を被っているのは、種族と能力を特定されないためか。
一人ずつ相手している余裕はない。ウルスラを追うのが最優先だ。
私も跳躍しようとするが、身体が重いのに気付いた。
「オレアードの力か」
大地精霊の長、オレアード。大地の重力をも操る彼なら、重力を増強させて足止めするくらい簡単だ。さっき感じた魔力は、そのための仕込みと言ったところだろう。
だが、重力の影響を受けるのはこの場の全員だ。おかげで技を打ち込む隙ができた。
「剣技【山鳴】」
私は十連続の空気を引き裂く斬撃を放った。剣の重みが増したためか、わずかに威力は上がっている。
これで八人の包囲網を突破できるか?
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