第17話

一年はあっという間に過ぎ、年末がやってきた。大学に入学して初めてのクリスマス。俺たちは、俺の家でクリスマスパーティーを開くことにした。この一年、様々なことがあった。化学実験のグループで出会い、予期せぬお泊まり、そして温泉旅行での「公認」。佐野志保、鈴木美保、菊池緑。それぞれとの個別での時間も増え、俺たちの関係は、もはや友人という言葉では括れない、深く複雑な「四重奏」へと進化していた。


パーティーの準備は、四人で協力して行った。志保は料理の腕を振るい、美保はセンスの良い飾り付けを担当し、緑はクリスマスソングを流しながら、楽しそうに俺と飾りを吊るした。互いの息はぴったりで、まるで本当の家族のように自然な一体感があった。リビングには、クリスマスらしいBGMが流れ、色とりどりのイルミネーションが温かい光を放っている。


「本田くん、この飾り、もう少し右がいいかな?」


志保が、脚立に乗った俺を見上げて言った。その顔は、湯気で少し赤くなり、いつも以上に可愛らしい。


「ん、そこだな。よし」


俺が言うと、美保が後ろからそっと手を添え、飾りの位置を微調整してくれた。彼女の指先が、俺の指に触れる。そのクールな表情の裏に、確かな親密さを感じる。


緑は、キッチンで志保と一緒に料理をしながら、楽しそうに笑っている。以前の、男性が苦手で地味な印象は、もはやどこにもない。彼女は、今、自信に満ちた、大人の女性の魅力を放っていた。


食卓には、志保が腕によりをかけた豪華な料理が並んだ。チキン、サラダ、ケーキ。すべてが手作りだ。美保が選んだワインをグラスに注ぎ、俺たちは乾杯した。


「一年間、お疲れ様。そして、ありがとう」


俺が言うと、三人はそれぞれのグラスを俺のグラスに合わせた。その笑顔は、この一年間の苦難と喜びを分かち合った、家族のような温かさで満ちている。


食事が一段落し、俺たちはソファーに座って、これまでの思い出を語り合った。化学実験での出会い、予期せぬお泊まりの朝の騒動、温泉旅行での衝撃的な「公認」。夏祭りの夜空に咲いた花火、海水浴での水しぶき。そして、それぞれの家での密やかな時間。一つ一つの出来事が、俺たちの関係を、深く、そして複雑にしていった。


「あの朝は、本当にどうなるかと思ったわ」


志保が、照れたように笑った。


「でも、あのことがあったから、私たち、ここまで来れたんだと思う」


美保が、静かに頷いた。


「うん……私、本田くんが、みんなを、大切にしてくれるって、分かったから……」


緑の声は、少し震えていたが、その瞳は、俺への深い信頼に満ちていた。


三人は、俺に与えられた「卒業までの宿題」を意識しつつも、この複雑な関係を前向きに受け入れ、自分たちの「答え」を俺に委ねる覚悟を固めているようだった。


「ねえ、本田くん」


志保が、ふと真剣な表情で俺を見上げた。


「私たち、本田くんのこと、本当に、好き。鈴木さんも、菊池さんも、そして私も」


その言葉に、俺の心臓が大きく跳ねた。


「だから、このクリスマスに……改めて、私たちの愛を、確認したい」


志保の言葉に、美保が静かに頷いた。


「ええ。この一年、私たちは、色々なことを経験した。隠し事をせず、互いの存在を認め合うことで、私たちは、より深い絆を築けた」


緑もまた、顔を赤くしながらも、俺の腕にそっと触れてきた。


「本田くんと、みんなと、一緒にいるのが、一番、幸せだから……。だから、もう一度、みんなで……」


三人の視線が、俺に集中する。それは、温泉旅行の夜、志保が提案した「お互いに見守られながらの性的関係」の再演を求めるものだった。それは単なる行為ではない。この一年で深まった、互いの存在を認め合い、多角的な愛の形を肯定する、精神的な行為。


俺は、彼女たちの覚悟と、俺への深い愛情を受け止めた。


「……分かった。俺も、みんなと、その時間を共有したい」


俺が頷くと、三人の顔に、安堵と、そして喜びの表情が広がった。


リビングのソファをベッドのように広げ、クッションや毛布を敷き詰める。クリスマスのイルミネーションの淡い光が、部屋を幻想的に照らしている。


まず、志保が俺の隣に横たわった。


「本田くん、私、もう、あなたに全てを捧げます……」


彼女は、以前のような羞恥心よりも、強い愛と信頼を込めた瞳で俺を見つめた。真面目な彼女の身体は、忠勝の愛撫によって、素直に快感に反応する。美保と緑が、その様子を静かに見守っている。志保は、見守られている状況での興奮と、真面目さからくる羞恥心と快感の葛藤の中で、全身を震わせ、甘い声を上げた。


「んんっ……あぁっ……も、もっと……本田くん……っ」


彼女の身体は、快感によって、理性では抑えきれないほど活性化されていく。


志保が満足した後、次に美保が、俺の隣に身を寄せた。彼女は、クールな視線で忠勝を支配するように、俺の身体に乗り上げてくる。


「本田くん。あなたは、私のものよ。今夜は、私がリードするわ」


美保は、他の二人の前でも自身の欲望を率直に表現し、忠勝を快楽の極致へと導いた。彼女の性的探究心は、底なしだった。俺は、彼女の情熱的な支配に身を任せ、新たな快感の波に溺れていく。志保と緑が、その行為をじっと見つめているのが分かる。


そして、最後に緑が、俺の腕の中に飛び込んできた。


「本田くん……私、もう、我慢できない……。もっと、私を、あなたのものにしてください……」


緑は、羞恥心と興奮が入り混じった表情で、他の二人の存在を意識しつつも、俺に全てを委ね、甘えた。俺は、彼女のふくよかな身体を優しく愛撫し、時間をかけて深く快感を与えた。彼女の男性への苦手意識は、もはや完全に消え去っている。性的な快感の中で、緑はただ俺だけを求め、全身で喜びを表現した。


三人のヒロインとの行為は、それぞれが持つ快感のツボや、相手を意識する心理が交錯し、互いの存在を認め合う、精神的な繋がりを深める行為だった。それは、肉体的な欲望の解放だけでなく、互いの存在を肯定し、多角的な愛の形を認め合う、聖なる儀式のようなものだった。


行為後、俺たちは四人で、毛布を掛け合い、寄り添って眠りについた。心地よい疲労感と、満たされた感情の中で、俺の心は静かだった。


「卒業までの宿題」。その言葉の重みは変わらない。しかし、この一年間の経験を通じて、俺は彼女たちとの愛の形が、より深く、確固たるものになったことを実感した。この複雑で、しかし温かい関係性をどう未来へと繋げていくか。俺の「人生の選択」は、今、新たな局面を迎えていた。

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