第7話
佐野志保が俺の腕の中で眠りについた後も、部屋には濃密な熱気が残っていた。その身体は心地よい疲労感に包まれ、安らかな寝息を立てている。俺は、彼女の真面目な内面が、快楽によって解放されたことを実感し、深い満足感に浸っていた。しかし、この夜は、まだ終わっていなかった。
静かに見守っていた鈴木美保が、音もなくベッドのそばに近づいてくる。その瞳は、暗闇の中でも鋭く、俺の心を射抜くようだった。
「ねえ、本田くん。あんなのを見せておいて、お預けはないよね? 次は私ってことで、いいかな?」
美保の声は、いつもと同じクールな響きだが、その言葉には、明確な、そして挑発的な要求が込められていた。俺は内心で驚きと動揺を隠せない。彼女のクールな外見からは想像できない、直接的で大胆な要求に、俺の身体は正直に反応した。
俺の腕の中で、志保が微かに身じろぐ。美保の言葉を聞いたのだろうか。志保はゆっくりと目を開け、俺の顔を、そして美保の顔を交互に見上げた。その瞳には、少し照れたような、しかし決意に満ちた表情が浮かんでいた。
「鈴木さん、私から、浴衣を貸してほしいって、言ったでしょう?」
志保は、微かに微笑んで言った。その言葉は、美保への「許可」であり、この場の「合意」を示すものだった。美保は、無言で浴衣を差し出す。志保は俺の腕から名残惜しそうに離れると、部屋の隅へと移動し、美保から借りた浴衣を羽織った。その表情には、忠勝を美保に譲る寂しさだけでなく、この多角的な関係性を維持するための、彼女なりの「覚悟」が滲み出ている。
部屋の隅で、志保が浴衣の襟元をきゅっと合わせ、座った。その視線は、再び俺と美保に向けられている。
美保は、俺に跨り、騎乗位で俺を見下ろした。その瞳は、冷徹な美しさの中に、深い情熱を秘めている。俺の顔を覗き込む彼女の表情は、どこか得意げだった。
「志保とのことは認めてあげるから、私も大事にしてね」
美保はそう告げると、俺の唇に自身の唇を重ねた。その言葉には、忠勝を共有する決意と、自身の独占欲が込められている。そして、忠勝が初めての行為であったため、私だけの忠勝との行為があるというように、特別な時間を強調する。
美保の口から、甘い舌が差し込まれた。深く、そして熱いキス。俺の身体は、彼女の主導権の下で、さらに熱を帯びていく。彼女は俺に跨ったまま、腰をゆっくりと揺らし始めた。そのたびに、俺のものが彼女の秘部に触れ、粘膜の熱い感触が伝わってくる。
美保は、普段の無口さからは想像できないほど、饒舌に、俺にどうしてほしいのかを言葉にした。
「……んん、本田くん……もっと、深く……そう。そこよ。そこが、気持ちいい……」
彼女のクールな表情は、快感によって次第に蕩けていく。騎乗位で上下する美保の腰に合わせて、俺の身体も性的快感で活性化され、理性の箍がとかれていく。部屋の隅で、志保が俺たちを見守っている。その視線が、行為に、さらなる刺激と高揚感を与えた。美保の吐息は荒くなり、その表情は恍惚へと変わっていく。
美保は、俺の体力の限界まで、激しい行為を要求し続けた。彼女の身体は、理性の制御を完全に失い、情欲のままに俺を求める。その長い手足が、俺の身体に強く絡みつき、何度も激しい絶頂に達するたびに、甘い悲鳴を上げた。
そして、最後に、美保の身体が大きく弓なりにしなり、甘い叫び声を上げて絶頂を迎えた。俺もまた、その熱いほとばしりを体の奥で受け止め、彼女と共に深い快感の波に沈んだ。
「……はぁ……はぁ……」
二人の荒い息遣いが部屋に響く。美保は、ぐったりと俺の胸に倒れ込み、息が落ち着くまで俺を強く抱きしめた。その抱擁は、満足感と、そして俺を独占できたことへの喜びで満たされているようだった。
美保は、ゆっくりと顔を上げると、部屋の隅で丸くなって見守っていた菊池緑に視線を向けた。
「待たせちゃったわね。あなたの番よ」
美保の声は、少し掠れていたが、その瞳には、勝利と、そして仲間への配慮が混じり合っているように見えた。緑は、美保の言葉に、羞恥心と緊張で全身を震わせる。男性への苦手意識と、今、俺と美保が繰り広げた情事を目撃したことへの衝撃。だが、美保の言葉と、俺への信頼、そして「彼氏が欲しい」という彼女自身の願望が、その羞恥心を乗り越えさせた。
緑は、はにかみながらも、美保と俺のいるベッドに近づいてきた。
「本田くん、私のことも大事にしてくれるのよね?」
彼女の声は、微かに震えていたが、その瞳は、真っ直ぐ俺を見つめていた。男性への苦手意識と、忠勝からの愛情を求める切実な願いが込められた言葉。
「もちろん、大事にするよ」
俺が優しく答えると、緑は小さく頷いた。
「……まだ、私だけで独占はできそうにないわね……」
彼女は悲しげに呟いた。しかし、その言葉の直後、美保と志保の行為を目撃したことで、彼女の中に新たな決意が生まれたようだった。
「……あなたを感じさせて。あの二人はもう終わったから、遠慮する必要ないよね。朝まで独占するわ」
緑は、羞恥心と決意がない混ぜになった表情で、そう宣言した。その言葉に、俺は頷く。
俺は、美保に別れを告げ、緑を抱き寄せた。緑は、俺の胸に顔を埋め、身体を震わせている。俺は、優しい刺激で長時間継続することを好む緑に合わせて、時間をかけてゆっくりと快感を上げていった。緑の男性への苦手意識が、快楽によって溶かされていく。彼女の喘ぎ声は、最初は小さく、控えめだったが、次第に甘く、情欲に満ちたものに変わっていく。
緑は、性的快感によって完全に理性の箍を解き放ち、体力を使い果たすまで俺を求め続けた。その身体は、俺の動きに合わせて激しく揺れ、何度も快感の絶頂に達した。
そして、最後に、緑が果てて俺の腕の中で眠りについたとき、美保と志保は、見守り疲れて、部屋の隅で心地よさそうに居眠りしていた。
俺は、消耗した美保と志保を、それぞれの寝床に優しく寝かせた。そして、最後に、安らかな寝息を立てる佐野志保を抱きしめて、俺も深い眠りについた。部屋には、四人分の安らかな寝息と、濃密な夜の余韻が漂っていた。この夜、俺たち四人の関係は、もはや後戻りできない、新たな段階へと進化したのだ。
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