登場人物(第十三巻)と今回までのあらすじ
登場人物
直接登場する人物
オデュッセウス (Ulysses/Odysseus)
イタケの王、ラエルテスの子。物語の主人公であり、フェアキア人に冒険を語り終え、豪華な贈り物と護送を受けてイタケに帰還。船で深く眠り、フォルキュスの港に着くが、ミネルヴァの霧で故郷を認識できず、混乱。羊飼いに化けたミネルヴァに会い、狡猾に嘘の物語(クレタでの殺人)を語るが、彼女に正体を明かされ、帰郷を確認。ミネルヴァの助言で変装し、求婚者への復讐を計画。物語の中心で、知略と忍耐が強調される。
アルキノオス (Alcinous)
フェアキアの王。オデュッセウスの物語に感動し、さらなる贈り物(三脚と大釜)を提案し、護送を命じる。ポセイドンの予言を思い出し、船の石化と町の危機を語り、護送の終了とポセイドンへの供物を指示。物語の枠組みの聞き手であり、寛大な指導者。
アレテ (Arete)
フェアキアの女王。オデュッセウスが物語を終えた聞き手の一人。別れの場面で彼から杯を受け取り、祝福される。侍女に清潔な衣類、箱、食料を持たせ、オデュッセウスの旅立ちを支援。物語の枠組みで重要な役割。
ポントノオス (Pontonous)
アルキノオスの召使い。ワインを混ぜ、フェアキア人に配り、ゼウスへの供物を準備。直接の台詞はないが、儀式の補助役。
デモドコス (Demodocus)
フェアキアの吟遊詩人。夕食で歌い、皆に愛される。オデュッセウスは太陽を見つめ旅立ちを急ぐため、歌に直接反応しない。物語の雰囲気を彩る脇役。
ミネルヴァ (Minerva/Athena)
ゼウスの娘、知恵の女神。霧をかけてオデュッセウスの帰郷を隠し、若い羊飼いに化けて彼に近づき、イタケにいることを告げる。オデュッセウスの嘘を見抜き、微笑んで女の姿で正体を明かし、過去の支援とフェアキア人への影響を語る。宝を洞窟に隠し、変装(皺、ぼろ服、杖と袋)を与え、求婚者への復讐を計画。テレマコスをスパルタから連れ戻すため去る。物語の進行と復讐の鍵を握る神。
ポセイドン (Neptune)
海と地震の神。フェアキア人がオデュッセウスを無事に送ったことに怒り、ゼウスに不満を述べ、帰りの船を石に変え、町を山で埋める計画を提案。ゼウスの許可を得て船を石化。オデュッセウスの帰郷を妨げた過去の敵意(子の目をくらましたこと)が背景。
ゼウス (Jove)
最高神。ポセイドンの不満を聞き、船を石に変え、町を山で埋める案を調整し、船の石化を提案。フェアキア人の供物(雄牛)の対象。オデュッセウスの帰郷を事前に約束した神として言及。
言及される人物(直接登場しない)
ペネロペ (Penelope)
オデュッセウスの妻。ミネルヴァが彼女の嘆きと求婚者への偽りの希望を語り、求婚者が彼女に贈り物をする状況を説明。オデュッセウスは彼女にすぐ会わず、試す姿勢を示す。物語の動機となる重要人物。
テレマコス (Telemachus)
オデュッセウスの子。ミネルヴァがスパルタのメネラオスと一緒にいると語り、彼が父の生存を探るために旅したと説明。求婚者が彼を海で待ち伏せ、殺害を企むが、ミネルヴァは失敗を予言。物語の次の段階の鍵。
ナイアデス (Naiads)
泉のニンフ。フォルキュスの港の洞窟に住み、海紫の衣を織り、混ぜ鉢やワイン壺を持つ。オデュッセウスが過去に供物を捧げ、帰郷後に再び祈る。神聖な背景を提供。
フォルキュス (Phorcys)
老海神。イタケの港の名前として言及。物語の舞台設定。
アガメムノン (Agamemnon)
オデュッセウスが自身の復讐の失敗をアガメムノンの悲惨な末路(妻とその愛人に殺された)と比較。過去の教訓として言及。
オルシロコス (Orsilochus)
イドメネウスの子。オデュッセウスの嘘の物語で、クレタ最速の走者として登場。トロイの戦利品を奪おうとし、オデュッセウスに殺されたとされる。
イドメネウス (Idomeneus)
クレタの王。オデュッセウスの嘘でオルシロコスの父として登場。オデュッセウスがトロイで彼に忠実でなかったと非難されたと語る。
メネラオス (Menelaus)
スパルタの王。テレマコスが彼と一緒にいるとミネルヴァが言及。テレマコスの旅の目的地。
プリム (Priam)
トロイの王。オデュッセウスがトロイ略奪後の苦難を語る際に言及。過去の戦争の背景。
ポリュポイテス (Polypoetes)
ミネルヴァがオデュッセウスの復讐を助ける際、トロイの「麗しい冠」を解いた日を想起。間接的な言及で、戦争の勝利を象徴。
求婚者たち (Suitors)
オデュッセウスの家を3年間占拠し、ペネロペに求婚し、財を食らう不埒な者たち。ミネルヴァが彼らの無礼とテレマコスへの殺意を語り、オデュッセウスが復讐を計画。物語の主要な敵。
豚飼い (Swineherd)
オデュッセウスの豚を世話する忠実な人物。ミネルヴァがレイヴンの岩とアレトゥサの泉近くで豚を養っていると説明。ペネロペとテレマコスに献身。オデュッセウスに会う次の人物として言及。
第1巻:神々の会議とテレマコスの決意
神々の王ゼウスと知恵の女神ミネルヴァ(アテナ)は、オデュッセウスの運命について議論する。オデュッセウスはトロイア戦争後、ポセイドンの怒り(キュクロプス・ポリュフェモスの目を潰したため)により帰郷できず、女神カリプソにオギュギア島で7年間幽閉されている。ミネルヴァはオデュッセウスの解放を主張し、ゼウスは同意する。一方、イタカでは、オデュッセウスの妻ペネロペが108人の求婚者に悩まされている。求婚者たちはオデュッセウスの財産を食い潰し、ペネロペに結婚を迫る。息子テレマコスは求婚者の傲慢さに憤るが、若さゆえに無力。ミネルヴァはメンテス(タフィア人の首長)に変装し、テレマコスを訪ね、父の消息を求めてピュロスとスパルタへ旅立つよう助言。テレマコスは決意を固め、旅の準備を始める。
第2巻:テレマコスの旅立ち
テレマコスはイタカの民会を開き、求婚者たちの横暴を訴えるが、アンティノスやエウリュマコスら求婚者は責任をペネロペに押し付け、退かない。テレマコスは父の帰還を信じ、ピュロスとスパルタへの旅を宣言。ミネルヴァ(メンテスに変装)が船と乗組員を用意し、テレマコスは老女中エウリュクレイアに秘密裏に準備を依頼。求婚者はテレマコスの旅に気づき、彼を海上で待ち伏せして殺す計画を立てる。テレマコスは夜に船で出発し、ミネルヴァの導きで旅を始める。
第3巻:ピュロスでのネストルとの出会い
テレマコスはピュロスに到着し、ネストル(ピュロスの王)がポセイドンに牛を捧げる祭事に参加する。ミネルヴァ(メントルに変装)がテレマコスを励まし、ネストルに父オデュッセウスの消息を尋ねるよう促す。ネストルはトロイ戦争の回想を語り、オデュッセウスの知恵を称賛するが、彼のその後の行方は知らないと答える。トロイ陥落後のギリシャ軍の分裂(アガメムノンとメネラオスの対立)や、アガメムノンの殺害(アイギストスによる)、オレステスの復讐を語り、テレマコスにメネラオス(スパルタの王)を訪ねるよう勧める。ネストルの息子ピシストラトスがテレマコスに同行し、馬車でスパルタへ向かう。ミネルヴァは鷲の姿で去り、ネストルは彼女の神性を悟る。
第4巻:スパルタでのメネラオスとの対話
テレマコスとピシストラトスはスパルタに到着し、メネラオスとヘレネの宮殿で歓迎される。メネラオスはトロイ戦争でのオデュッセウスの活躍(トロイの木馬など)を語り、彼がカリプソの島に幽閉されていると明かす。ヘレネもオデュッセウスの勇敢な行動を回想。メネラオスは自身の帰郷の苦難(エジプト漂流など)を語り、テレマコスに励ましを与える。一方、イタカでは求婚者がテレマコスの旅に気づき、待ち伏せを強化。ペネロペはテレマコスの危険を知り、悲嘆に暮れるが、ミネルヴァが夢で彼女を慰める。
第5巻:オデュッセウスの解放と漂流
物語はオデュッセウスの視点に移る。ゼウスはヘルメスに命じ、カリプソにオデュッセウスを解放するよう伝える。カリプソは不満ながら従い、オデュッセウスに筏を作る材料を提供。オデュッセウスは筏を完成させ、オギュギア島を去るが、ポセイドンが嵐を起こし、筏は破壊される。海で漂うオデュッセウスは、女神イノの助け(魔法のヴェール)でスケリア島に漂着。疲れ果てた彼は木の葉に覆われて眠る。
第6巻:スケリア島でのナウシカとの出会い
オデュッセウスはスケリア島(ファイアキア人の島)で目覚める。ミネルヴァはファイアキアの王女ナウシカに夢で洗濯を促し、彼女を海岸へ導く。ナウシカはオデュッセウスを見つけ、裸でみすぼらしい彼に衣服と食事を与える。オデュッセウスは礼儀正しく振る舞い、ナウシカに王宮へ案内される。ミネルヴァは彼を霧で隠し、町での好奇の目を避ける。
第7巻:ファイアキアの王宮
オデュッセウスはファイアキアの王アルキノオスと王妃アレテの宮殿に到着。ミネルヴァ(市民に変装)の助けで歓迎され、豪華な宴に招かれる。オデュッセウスは自分の名前を明かさず、漂流の苦難をほのめかす。アルキノオスは彼を客として厚遇し、船での帰郷を約束。オデュッセウスは宮殿で休息する。
第8巻:ファイアキアでの宴と競技
アルキノオスはオデュッセウスのために宴と競技会を開催。ファイアキアの若者たちが走り、レスリング、円盤投げなどで競う。オデュッセウスは挑発され、円盤投げで圧倒的な力を示す。吟遊詩人デモドコスがトロイ戦争の歌(トロイの木馬など)を歌い、オデュッセウスは涙を流す。アルキノオスは彼の正体を尋ねるが、オデュッセウスはまだ明かさない。
第9巻:オデュッセウスの回想:キコネス、ロトス、キュクロプス
オデュッセウスは自らの名前を明かし、トロイ陥落後の冒険を語り始める。まず、キコネス族を襲撃するが、部下の欲深さで反撃を受け、各船から6人を失う。次に、ロトス食い人の島で、部下がロトスの実を食べ、帰郷の意志を失うが、オデュッセウスは彼らを船に連れ戻す。続いて、キュクロプス・ポリュフェモスの洞窟に閉じ込められる。オデュッセウスは酒でポリュフェモスを眠らせ、熱した杭で目を潰し、羊に隠れて脱出。逃げる際、名前を明かしたことでポリュフェモスが父ポセイドンに復讐を祈り、オデュッセウスの漂流が始まる。
第10巻:アイオロス、ライストリゴネス、キルケ
オデュッセウスは風の神アイオロスの島に到着し、順風と風の袋を贈られるが、部下が袋を開け、暴風で漂流。次に、ライストリゴネス族(人食い巨人)の島で11隻の船と部下のほとんどを失う。一隻でキルケの島にたどり着き、キルケが部下を豚に変える。ヘルメスの助けで魔法を解き、キルケと一年を過ごす。キルケはオデュッセウスに冥界で予言者テイレシアスに相談するよう助言。
第11巻:冥界への旅
オデュッセウスはキルケの指示で冥界へ旅立つ。テイレシアスは帰郷の条件(ヘリオスの牛を傷つけないことなど)を告げ、求婚者の問題を予言。オデュッセウスは母アンティクレイア(彼の不在中に死去)と対話し、イタカの状況を知る。アガメムノン、アキレウス、アヤックスらトロイ戦争の英雄とも対話。冥界の恐怖を乗り越え、キルケの島へ戻る。
第12巻:セイレーン、スキュラとカリュブディス、ヘリオスの島
キルケの警告を受け、オデュッセウスはセイレーンの歌を聞くため自分をマストに縛り、部下に耳を塞がせる。次に、怪物スキュラと渦潮カリュブディスの海峡を通過し、6人の部下をスキュラに失う。ヘリオスの島では、部下が聖なる牛を屠り、ゼウスの怒りを買う。船は雷に打たれ、オデュッセウス以外の全員が死に、彼はカリプソの島に漂着。
第13巻:ファイアキアからイタカへ
オデュッセウスの回想が終わり、アルキノオスは船と贈り物を提供。ミネルヴァの魔法で眠るオデュッセウスはイタカに上陸。ミネルヴァ(羊飼いに変装)が現れ、イタカの状況(求婚者の横暴)を説明。オデュッセウスは乞食に変装し、計画を立てる。ミネルヴァはテレマコスをスパルタから呼び戻す。テーマ:帰郷の達成、変装と策略。
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