反社会的犯罪

森本 晃次

第1話 プロローグ

この物語はフィクションであり、登場する人物、団体、場面、設定等はすべて作者の創作であります。似たような事件や事例もあるかも知れませんが、あくまでフィクションであります。それに対して書かれた意見は作者の個人的な意見であり、一般的な意見と一致しないかも知れないことを記します。今回もかなり湾曲した発想があるかも知れませんので、よろしくです。また専門知識等はネットにて情報を検索いたしております。呼称等は、敢えて昔の呼び方にしているので、それもご了承ください。(看護婦、婦警等)当時の世相や作者の憤りをあからさまに書いていますが、共感してもらえることだと思い、敢えて書きました。ちなみに世界情勢は、令和6年6月時点のものです。お話の中には、事実に基づいた事件について書いていることもあれば、政治的意見も述べていますが、どちらも、「皆さんの代弁」というつもりで書いております。今回の事件も、「どこかで聞いたような」ということを思われるかも知れませんが、あくまでもフィクションだということをご了承ください。実際にまだ標準で装備されていないものも、されることを予測して書いている場合もあります。そこだけは、「未来のお話」ということになります。今回は、かなりフィクション性が高いです。今回出てくる、「反社会主義団体」はあくまでもフィクションですが、ありえそうな話だと思うのは、作者だけではないでしょう。


 最近では、犯罪というものは、減ってきているというような話を聞くが、凶悪事件に関しては減っているようには思えない。むしろ、

「増えているのではないか?」

 とさえ思えるほどであった。

 今までのように、

「紙媒体の新聞」

 というのがあまり売れないことから、ネット配信の新聞となり、それまで、紙媒体として読んできた新聞とはレイアウトもまったく違うので、今までの新聞で慣れている人は、読むだけでも苦労するというものだ。

 しかし、それでも、

「若い人なら、すぐに慣れるだろう」

 といえるのだろうが、そもそも、

「若い人たちが、果たして新聞を読むだろうか?」

 ということである。

 確かに、

「営業職」

 ともなれば、話題提供ということで、新聞くらい目を通しておく必要はあるかも知れない。

 しかし、最近では昔のように、

「社会常識」

 などというのを、本当に商談の話題にするものであろうか?

 実際に、時代がどんどん変わってきたのは、

「バブル崩壊から以降」

 ということであろうから、今の時代から考えると、

「かなり昔」

 ということになる。

「平成に入って少ししてから」

 というのが、バブル崩壊と呼ばれた時期だった。

 つまり、

「もう、30年近く前」

 ということになるのである。

 だから、

「失われた30年」

 などという言葉があるのであって、それを考えると、

「40歳くらいから若い人には、それよりも年の人には分からない感覚を持っているといってもいい」

 だから、今、

「営業社員として飛び回っている人であったり、商談相手の人」

 というと、

「バブル期以降」

 ということで、

「昭和時代のやり方をまったく知らない」

 といってもいいかも知れない。

 そこから以降であれば、それまでのような、

「企業戦士」

 と言われ、

「24時間戦えますか?」

 などと言われた、

「熱血根性」

 というものを毛嫌いする時代であろう。

 その時代には、

「やればやるほど成果がでた」

 という時代で、結果がハッキリ現れ、やりがいというものがあった時代だったので、そんな

「熱血根性を美しい」

 と言い切れた時代だったのだろう。

 それを考えると、

「今の時代は、それまで伝説と言われてきた、バブル経済」

 というものが、

「神話といわれた銀行の破綻から始まって、伝説が、ことごとく崩壊した時代だった」

 そうなると、それまでの反動が一気に襲ってきて、

「待ったなし」

 で、社会の崩壊がやってくる。

 当然会社の経営陣は、

「会社のことだけしか考えない」

 まわりを構っている暇もないし、考え方を根本から変えないとやっていけないということも分かっている。

 そうなると、

「収入が見込めないのだから、支出を抑えるしかない」

 ということで、それまで、

「やればやるほど、利益が出る」

 ということで、人材を確保してきたのだが、その人材が一気にいらなくなるのだ。

 つまりは、

「人件費削減」

 ということでの、

「首切り」

 ということである。

 それまで聴いたこともなかった、

「リストラ」

 という言葉が蔓延し始め、今では、当たり前のことのように言われるようになったのも、この時代からのことであった。

 そして、

「それまで残業をすればするほど、残業手当が出ていた」

 という時代であったが、途中から、

「残業手当など、出ない」

 と、ほとんどの会社が定めた。

 つまり、

「リストラにて、社員を減らす」

 しかし、人をギリギリまで減らしたわけで、

「仕事は減っても、それ以上に人が減っている」

 というわけで、今まで、

「3人で賄っていたものを2人で」

 というような状態になったのだから、理屈で考えると、

「4時間の残業を毎日しないと賄えない」

 ということになるのだが、

「残業手当は出さない」

 ということなのだから、当然、

「サービス残業になる」

 というわけだ。

「創意工夫をして、残業をしないように」

 と簡単に上司はいうが、確かに、創意工夫は大切で、少しは、時間短縮にはなるだろうが、決定的な短縮につながるわけもなく、やはり、ほとんどが、サービス残業ということになる。

 さすがにそうなると、会社の方も、

「納期は締め切りに間に合わない」

 ということになり、

「納期を伸ばしてもらうか?」

 あるいは、

「臨時にでも人を雇って賄うぁ?」

 ということしかなくなってしまうのである。

 それを考えると、

「納期と、経費のジレンマに陥り、それを解決できない会社は、潰れていくしかない運命だ」

 ということになるのだ。

 実際に、それを賄えずに潰れていくところも多い。

 特に、会社とすれば、

「下請け会社に任せ、そこから孫請けに任せる」

 ということで、下の階層にいけばいくほど、

「貧乏くじを引いてしまう」

 ということになるのが、一般的な会社ということであろう。

 まるで、

「丁稚奉公」

 のようなやり方が、この経済破綻の世の中で成り立っていくわけもない。

 そもそも、会社組織の中で、

「裏の部分」

 というのがあった。

 特に、日本という国においては。

「年功序列」

「終身雇用」

 ということが当たり前ということだった。

 つまり、

「実力があっても、年齢で、役職が決まる」

 さらには、

「一つの会社に入れば、定年まで勤め上げるのが当然」

 ということで、それができない社員は、

「ダメ社員」

 というレッテルを貼られていたのだ。

「ヘッドハンティング」

 ということをしている会社もあっただろうが、よほど実績があり、その会社が、

「手放したくない」

 とでも思っている人でなければ、そんな引き抜きなどなかっただろう。

 だから、

「優秀な社員が、実力があるにも関わらず、飼い殺しの目に遭う」

 ということが日常茶飯事だったということであろう。

 だから、

「実質的な会社の成長」

 などというのはない。

「時代がバブル経済の中にいる」

 という、

「ぬるま湯の中」

 だからこそ、

「会社が成長しているように見えた」

 という時代だったのだろう。

 しかし、実質的には、

「見掛け倒し」

 であり、

「バブル経済の崩壊」

 とともに、社会もろくな時代になっていないということなのだ。

 もちろん、それを黙って見ているわけにもいかず、後手後手に回りながらも、それなりの工夫も行われたりした、

 実際に行わてた対策としては、会社面においては、大きな会社を中心とした、

「企業合併」

 ということである。

 それぞれに、強みを持っている会社が、一つになることで、より強力な会社を作るということで、行われたことで、中心企業には、一番強力な会社を据えるというのが、当たり前だったのだ。

 そんな、

「企業合併」

 実質的には。

「吸収合併」

 というのは、最初に破綻した

「銀行などの金融機関」

 が始めたことだった。

 何といっても、バブル崩壊までは、

「銀行は絶対に潰れない」

 という、神話が存在していたのである。

 だから、銀行が次々に破綻していった時に、慌てふためくことになったのだ。

 実際にいえば、

「どうして誰も、バブルの崩壊を予知することができなかったのか?」

 ということであるが、これも、今となっては想像の域を出ないが、

「本当は分かっていたが、下手に騒げば、騒動が大きくなり、実際にバブル崩壊があったとしても、さらに、騒ぎを大きくしてしまうのではないか?」

 と考えたとすれば、

「それはそれで、しょうがないかも知れない」

 ともいえるが、

 それよりも、

「下手に世間を騒がせて、自分の立場が悪くなる」

 ということは困ると考えた人もいるだろう。

 確かに、何か騒動や混乱が起これば、

「その原因を作った人間が、最終的には、すべての責任をかぶらなければいけなくなる」

 ということになるだろう。

 実に理不尽なことなので、そんなことを誰が望むというのだろう。

 実際には、

「そんな社会の風潮が、そもそも、バブル経済などという、楽で、安直な方に流れる世界を作ったのではないか?」

 と言ったとしても、それは、

「後の祭り」

 でしかないということであろう。

 実際に、

「吸収合併」

 により、バブルの崩壊が、本当の最悪の状態にならずに済んだともいえるかも知れない。

 何といっても、銀行など、ひどい時には、

「元の企業の名前を消したくない」

 というようなことから、

「5、6個の名前が連なった会社名」

 ということになり、

「元々、どこの銀行だったんだ?」

 とすぐには分からないくらいになったであろう。

「あれだけたくさんあった銀行は、どこに行ってしまったんだ?」

 と、会社名を一新したところは、本当に、

「元はどこだったんだ?」

 ということになるはずだ。

 さらに、それが

「大きな混乱を呼ぶ」

 ということにもつながった。

 それが、

「システム統合」

 というものであった。

 そもそも、

「別々のシステムで動いていたものを一つにする」

 ということで、

「時代のタイミングも実に悪い」

 といってもいいだろう。

 というのは、その時代は、

「コンピュータによる、一元管理」

 というものが、本来であれば、バブル経済の中で行われ、それぞれの企業で、稼働し始める時代であった。

 しかし、

「バブルの崩壊」

 ということにより、

「企業の延命」

 ということから、

「吸収合併」

 ということになると、

「せっかく、それぞれの会社で一元管理できていて、これから、コンピュータ管理の元、利益を挙げていく」

 というはずであったのが、根本から崩れてきた。

 そして、企業が合併するということは、

「システム統合をしないといけない」

 ということから。

「せっかく。それぞれ作ったものを、なかったことにするかのように、なるわけなので、そのための経費や、努力は無駄になってしまった」

 ということになるのだ。

 これが、

「バブル崩壊」

 というものにおける対策である、

「吸収合併:

 というものの、

「デメリット」

 ということだ。

 確かに、

「会社が潰れてしまうと、社員全員が路頭に迷い、顧客や取引先が、多大な迷惑をこうむり、さらに、社会がこれ以上の混乱をきたす」

 ということから、

「吸収合併は、致し方ないこと」

 ということであるが、正直、

「デメリット」

 という部分では、

「致命的」

 ということもあっただろう。

 実際に、何年もそこからかかって、

「システム統合」

 というものを行ったとして、実際に運用を始めると、

「一週間以上も、決済ができない」

 などという、社会不安に直接結びつくという大事故を起こしてしまい。記者会見などを開いて、

「会社役員が謝罪」

 というものを行い、さらには、

「会社役員全員が、責任を取って辞任」

 ということが当たり前のように起こったのだ。

 それが、バブル崩壊における、一種の、

「二次災害だ」

 といってもいいだろう。

 さらに、バブル崩壊においての大きな問題として、

「リストラ」

 などを行うことで生じた、

「会社運営がままならない」

 という、

「リストラとのジレンマ」

 というものであろう。

「社員は、どんどん減らさなければいけない」

 しかし、

「仕事はやらなければいけない」

 ということで、社員にそのしわ寄せがくるということで、だからといって、

「また人員を増やすわけにはいかない」

 ということから考えられたのが、

「非正規雇用」

 という考え方だった。

 それまでは、会社で、

「無駄」

 と思われるようなことを平気でしていた。

 特に、

「女性社員の仕事」

 ということで、

「コピーとお茶くみ」

 と言われてきた時代だった。

 それは、

「男尊女卑」

 という考えが根底にあったからであろう。

 バブル期には、それを、

「問題だ」

 とは思いながらも、なかなか口に出せなかった女性たちであるが、今度は、

「バブル崩壊」

 ということから、

「自分でできることは、自分でする」

 という、無駄を省くことが多くなり、女性が、

「男女雇用均等」

 という話を持ち出したことで、それまで黙っていた女性たちが立ち上がったということになるのだろう。

 それは、一見いいことであった。

 実際には、

「旦那がリストラにあった」

 あるいは、

「旦那の給料が下がった」

 などということで、今まで奥さんは、

「専業主婦が当たり前だった」

 ということであるが、

「旦那の安い給料だけではやっていけない」

 ということで、共稼ぎというのが増えてきて、

「女性の社会進出」

 が多くなった。

 子供がいる人などは、

「アルバイトやパート」

 という、

「非正規雇用」

 というもので働くようになるわけだが、それが、会社にとってはありがたいということになるのだ。

「人件費を抑えられ、それまで、女性がやっていたようなことを任せればよくなり、社員は、自分の仕事に集中できる」

 ということから、

「給料の高い正社員を減らして、パートを増やし、入力業務や事務仕事などをその人達にやらせる」

 ということが普通になってきた。

 ただ、それでも、

「責任をパートに負わせるわけにもいかない」

 あるいは、

「残業もさせられない」

 ということで、残った仕事は、

「正社員が責任をもって」

 ということになるのだ。

 そうなると、

「給料も減らされて、責任だけが増えて」

 ということで、正社員に残れたとしても、不満が残るということになる。

 つまりは、

「会社を、辞めるも地獄、残るも地獄」

 ということになるのだ。


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