少し味見させて
食堂に設けられているトレーをもって好きなおかずを取ると私とリュカはヴァルナ先輩とマリカちゃんの所へと戻る。
ここの食堂はビュッフェ形式で、取った分だけお金を支払う必要がある。
ママの話だと、昔はお金がかからなかったって言ってたけど、全寮制が廃止されてからお金が要るようになったみたい。
それはさておき、私が買ってきたのはフレンチトーストにミニハンバーグが2個、プレーンオムレツにサラダにスープ。
朝からそんなに沢山は食べれないし、食べ過ぎたら太っちゃう。
ママみたいにどれだけ食べても太らない体質ならいいんだけどなぁ~……。
そして、私はリュカのプレートへと目をやると、パンに唐揚げが三個、魚のムニエルにサラダとスープ。
唐揚げも迷ったんだけど、私はミニハンバーグにした。
でも……唐揚げも美味しそうだな~……。
あとでリュカに少しもらおうかな……。
そして、席へと座ると私は自分のミニハンバーグを一つ口へと運ぶ。
「おいしい~……!ここのミニハンバーグはやっぱりおいしい~……!」
口の中にハンバーグの肉々しい味わいとソースが広がり口の中がもうパラダイス……!
そして次にサラダも口にいれるとこれも美味しい。
ああ……、この学園に入って良かったと心から思える瞬間。
「全く……ミニハンバーグ一つでリィナはおおげさだな……」
そう言うリュカの方へと私は目をやると彼が持っているフォークには食べかけだと思われる唐揚げが刺さっていた。
……やっぱり唐揚げも買えば良かったかな。
「ねえ、リュカ。唐揚げおいしい?」
「え……?ああ、普通にうまいけど……」
「ちょっと味見させて!」
「え……?ああ……っ!?」
私はそう言うとリュカの食べかけの唐揚げへと顔を持っていって口に入れる。
すると唐揚げのジューシーな味わいが口に広がる。
「この唐揚げ美味しい~!」
「そうだろ?あたしもその唐揚げ好きなんだよ」
「ちょ……!リィナそれ俺の食べかけ……!」
ヴァルナ先輩の言うように確かにこの唐揚げは美味しい!
それと、リュカが何か言ってるけど、まあ手つかずの唐揚げを取るよりはこっちのほうがいいんじゃないかなと私は思う。
……と、そうだ。
リュカから唐揚げをもらったんだから私はミニハンバーグをお返しにあげなきゃ。
「リュカ、お礼に私のミニハンバーグをあげる♡」
私はさっきミニハンバーグを食べたフォークでもう一つのミニハンバーグを刺すとリュカの口元へと運ぶ。
「た……食べないとダメなのか……?」
「えっと……リュカの言っている意味がわからないんだけど……。とりあえず唐揚げのお礼にと思って……」
私はリュカの言っている意味がわからず首を傾げる。
食べる以外何があるのかな……?
「リュカ!そのミニハンバーグも美味いぞ!あたしのお墨付きだ!」
「ほら、ヴァルナ先輩もそう言ってるんだし、リュカはいあ~んして」
「す……すまない……俺にはちょっと無理だ……」
「そう……?」
リュカの言葉に私はミニハンバーグを下げる。
ハンバーグはリュカも好きなはずだったんだけど……気分じゃないのかな……?
「リュカ先輩、意気地なし……ですね」
「うぐ……!」
そしてマリカちゃんの言葉にリュカはなぜか顔を赤くしながらガックシと肩を落としたのだった。
……変なの。
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