第9話
「待たせたな」
「ダリウス殿下! 本日もご足労いただきありがとうございます」
魔術師団の団長であるヒューバートが俺に向かって頭を下げる。
銀髪に青い目をしたこの男は、まだ二十七歳だというのに団長まで上り詰めた人物だ。
「そちらのご令嬢はどなたでしょうか?」
ヒューバートはノーラに気づくと、不思議そうな顔で尋ねてくる。
「彼女はノーラ。ルシア聖学園の生徒だ。平民の生まれにして珍しい光魔法が使えるんだ」
「ノーラです。よろしくお願いします!」
俺が紹介すると、ノーラはぴょこんと頭を下げる。
「殿下のご学友だったのですか。それも光魔法が使えるとはすばらしい。本日は見学にいらっしゃったのでしょうかね。ところで、スカーレット様はどちらに?」
ヒューバートは周りをきょろきょろ見回しながら言う。
「スカーレットは来ない。あの女とは婚約破棄したから、今後遠征に来ることは二度とない。今日からスカーレットの代わりにノーラに俺の補佐をしてもらう」
「え!?」
説明すると、ヒューバートがぎょっとしたように目を見開いた。
「な、何をおっしゃっているのですか!? スカーレット様と婚約破棄!? そちらのご令嬢がスカーレット様の代わり!? 殿下、気は確かですか!?」
ヒューバートは顔を真っ青にして大声で言う。
周りの魔術師たちも何事かという顔で集まってきた。
俺はヒューバートの大げさな反応に少々むっとしながらも続ける。
「何をそんなに騒いでいるんだ。ノーラは光魔法が使えると言っただろう。スカーレットがいなくてもノーラがいれば問題ない」
「光魔法が使えるとおっしゃいましても……! スカーレット様の魔法は非常に高度で強力なのですよ!? それと同じレベルのことが本当にそちらのご令嬢に出来るのですか!?」
「当然だ。スカーレットなんて俺の魔法に少し強化魔法を加えるくらいのことしかしていなかっただろ」
スカーレットがやっていたことといえば、俺が結界に魔法をかけた後で、何やらぶつぶつ呟きながら強化魔法をかけるだけだった。
そもそも俺が結界を維持する魔法をかけているのだから、強化魔法なんておまじない程度のもので、なくても問題ないはずだ。
ノーラにだって同じことが行えるはず。
しかし、そんな俺の考えとは裏腹に、ヒューバートと、その場に集まった魔術師たちの顔はどんどん青ざめていく。
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