第24話 離婚成立

「おまたせしました。弁護士の椿です」

椿が挨拶をして、名刺を差し出した。突然の展開に彩は、なすがままだ。

「真田さん、ご用件は?」

「妻が離婚をしたいと申し出てきたので、僕も同意したのでおいでいただきました。」

「なるほど分かりました。奥様も離婚でよろしいんですね。」

「え、え?急すぎるというか、よく話し合ってからでも。」

「おい。お前から言い出したんだろ!。録音だってあるんだぞ。確かに言ってるぞ。」

ICレコーダーをテーブルに出した。

「そうなんですか。」

「は・・・はい。でも、他の条件とか・・を話し合ってから」

「それは離婚届を書いてから話し合おう。」

「・・・・・」


「では、離婚届の記入をお願いします。」

 椿は、離婚届を取り出した。すぐにペンを取り出してサインし、彩の前に突き出す。彩は

「ちょっと待って・・。」

「待つわけないだろ。早く書いて。」

 彩は観念したように、署名した。

「よし。じゃあこれの証人はここの椿さんと斎藤に頼んで書いてもらい、提出する。」


「じゃあ、スマホを出してもらうか。」

「え?ど、どうして?」

「明日、離婚の条件について話うんだろ。黒田に電話しろ。」

「え、黒田さんて?」

「お前の料理の教室の先生に決まってるだろ。」

「ど、どうして・・・・。」

「同席してもらうに決まってるだろ。」


 彩は観念したようにスマホで黒田にかける。スマホを奪い取って、スピーカーにする。

「彩か?離婚をうまく切り出したか?」

黒田の声がリビングに響く。

「真田 彩の夫です。明日、新宿の椿法律事務

 所に10時に来てください。」

「え?ど、どうして」

「理由は、ご自身がよく、お分かりでしょう。では。」

一方的に電話を切った。


彩は真っ青になって俯いている。

「お前も10時に椿法律事務所だ。名刺を見ろ」

「俺は、今日はホテルに泊まる。スマホは、あずかっておく。黒田とは連絡はとるな、これは警告だ。」


 椿弁護士と家を出た。



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