第2話
今日は清々しい青天井で、心も落ち着いていた。日光がストレスを和らげると聞いた事があるが、少し眩しい。逆に暗闇の方が心が落ち着くのではないかとも思ったことがある。が、いざ目の前に眩しい光るものを見ると、感動する。自分の中にまだこのような感性が残っていたことに驚いてしまう。
初夏。人々は露出する肌面積を広げ、風を仰いでいるが、それよりも私には、陽炎のようにぐわぐわと視界が揺れるのが気になっていた。熱中症によるものなのか、精神病からくるものなのか。前者なのならとても喜ばしいが。
精神病では死ねないのなら熱中症になって死ねば良い。この症状による死者が報道される度、不謹慎にもそれを望んでしまうのだ。いや、分かっている。それを望んではいけない、死者は哀れまなげればならぬ。分かっている。ただ、そこを通り過ぎるトンボが、一匹のトンボが無邪気な子供によって命を奪われるように、太陽によって命を奪われるのなら、どんなに光栄なことであろうか。自殺は孤独だが、太陽によって奪われるのなら、温暖化によって奪われるのなら、アスファルトからの反射の熱で奪われるのなら、少しでも孤独では無くなるのではないだろうか。
親友は孤独に旅立ったのだろうか。孤独だろうか。私がすぐにでも後を追ったのなら彼女は孤独では無かったのだ。だが、しなかった。命惜しさに彼女を孤独にしてしまった。
「可哀想に。まだ若いだろう。自殺なんてしなければ少なくともあと七十年、現代の医療なら生きられただろうに。」
彼女の叔父が放ったこと。哀れみ。哀れまれたからといって、彼女の孤独は消えないのではないか。
私もいなくなれば哀れまれるのだろうか。
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