自死による思考の揺れについて
樋川
第1話
液晶に映る笑顔の可愛らしい女性は私を冷笑し、蔑しているのではないか。彼女は死を、絶望を、目にしたことはあるのであろうか?
疑念。付き纏うそれは私に絶望を誘うのであって、決して確たる「死ね」という言葉にはならないので、未だに死ねず、かと思えば私の前髪を掴み、壁に頭を打ち付けるので、度々困る。困るというのが、私には心配をかけさせて私が反省するほどの人間がいないので、いくら苦しもうがもがこうが、「困る」だけでなのである。
視界の右端には三年ほど前に自ら棺桶に入った、最たる友情の、親交がずぶずぶと深い友人が立っている。なぜ?分からないけれども、彼女が私に目を合わせると、責め立てるように、殴り倒すように、険しい表情をするので、また困る。
彼女は、私に、私に?いえ、私は決して自殺幇助をした訳ではないのだが、そう思いたいのだが、ずっと目を合わせたがるので、困って困って。
先生は、見ない方が良いと仰っていたので、その通り見ないのだけれども、見えるものは、見える。
この日記は誰かが読むことを想定して、上記の前提を記しておく。一応家族はいるので(優しいが、私が精神病にかかってから無関心。よって、私が死んだら家族に事情を聞くよりも、この日記を開くほうが、よっぽど役に立つと思う。)、この日記について聞かれたら、ただこう答えて欲しい。
「一切の悲劇は、彼女の自殺よりも、今までの、些細な悲劇なので、この日記に意味は無い。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます