第17話 出産 徴兵

 数か月後、ミリアは女の子の赤ちゃんを産んだ。赤ちゃんは人間の形をしていた。この子が妖狐なのか人狼なのかはまだわからない。


「ミリア、よくやったな!」

「ありがとう、マックス。名前はマリアにしましょう」

「いい名前だな」

「マリアちゃん、可愛い!」


 アンネも喜んでいる。アンネは最近ずっと店番をしていた。しばらくして、今度はジェシカが赤ちゃんを産んだそうだ。男の子だ。名前はカイン。


「マックス、俺の子を見てくれよ!可愛いだろ?将来はマリアちゃんとくっつくかもな!」


 ジャミルが赤ん坊を見せびらかしに来た。マリアを嫁にだと?


「うちの娘はやらんぞ」

「ああ、そういうこともあるかもな」


 しばらくして、村に領主からの使者が来た。こんな寂れた村に何の用だろう?使者は村長の家に入っていった。


「では村長、よろしく頼むぞ」

「……はい」


 使者は去って行った。


「村長、何があったんだ?」


 俺は村長に聞いてみた。


「この村から徴兵するそうだ……。近いうちに戦争が起こる」

「徴兵、戦争……」

「マックス、ジャミル、お前たちは行ってくれるな?行かなければ領主から罰せられる」

「赤ちゃんが生まれたばかりだってのに、そりゃねえぜ!」


 ジャミルが激高する。


「他には、バロータ、スミス、レオ、ゴンズに行ってもらう」

「あれ?ヨハンは戦争に行かないのか?」


 俺はヨハンの名が無いことに気づいた。


「ヨハンは戦争に行かせん。儂の息子なのじゃ。次期村長が行くわけにはいかぬ」

「ふざけんなよ!」


 ジャミルが村長を殴った。村長は吹っ飛ばされて気絶した。


「ジャミル、やりすぎだ」

「マックス、でもよう……あまりにも理不尽だ!」


 村長が気絶してしまったので、その日はお開きとなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る