第2話 『002』

『002』


 俺の適正結果は闇属性魔法という聞き慣れない名前だったから、耳を疑ってしまう。


 父を見た。


 見たことのない怖い顔になっている。


 あれだけ優しかった父は血相を変えていて、判定結果に文句を言う。


「ちょっと待ってください。何かの間違いでは? 私の子がそんなハズレ適正のはずがない。もう一度判定を求めます」


「わかりました。ジョン伯爵の頼みならもう一度だけ特別に判定します。結果は、、、闇魔法属性と出ました」


「嘘だあ!!!!! 私の子がそんなハズレのハズレの適正のはずがない! 納得できない!」


「適正に間違いはない。カールは闇魔法の属性に適正があり、将来は闇魔法が使えるでしょう。私は初めてこんな変な適性を見ましたが、残念ですね伯爵」


「父様、俺は闇魔法のようです。でも闇魔法で強くなれば兄さんと姉さんと一緒に冒険に出れますよね?」


 剣聖ではないにしても、魔法が使えるなら魔法によって攻撃し、魔物の討伐は可能だ。


 たぶん優しい父のことだから、兄さん達と冒険しなさいと言ってくれるだろう。


 残念ではあるが問題はないと思うが、父の顔はさらに赤くなり怒りが抑えきれない感じだな。


「カール、お前には大変にがっかりした。失望しかない。闇魔法など使う人族はいないし、見たことない。役に立たない適正だ」


「そんなあ! 俺は俺は頑張るよ!」


「無理だカール。お前は我が家にはふさわしくない息子だった。期待はずれもいいとこだ。我が名家に必要のない人材だった」


「父様」


 父は俺にがっかりしたらしい。


 人前にも関わらず俺を役にたたないと言い切った。


 仮にも自分の息子に言うべき言葉じゃない。


 名家の貴族らしからぬ言葉を使ったのは衝撃だった。


 そうなると周囲の人々は、


「くくくくく、聞いたかよ、闇魔法だってよ!」


「できそこないだな、あれは伯爵の失敗作だぞ!」


「兄と比較したら可哀想だが、ハズレだな!」


 俺に向けた話し声が聞こえた。


 おいおい、聞こえてんぞ!


 子供にだってバカにされているのは理解できるっての!


 ちくしょう!


 なんで俺だけこんなハズレの結果判定なんだよ!


 父も納得いかないが、俺が一番納得いかない。


 なぜなんだよ!


 周囲の同い年の奴らが俺を見て笑っている。


 うるせぇよ!


 お前らだって農民とか平民だろうに。


 俺を見て笑うな。


 殺意がわいてくるだろうに。


 父と神殿を足早に去り、自宅に帰った。


 帰り道では父は一言も会話はなかった。


 俺の中で悔しさと情けなさが同じくらいあった。


 自宅に帰るとメートル兄さんとアイ姉さんとテーブルに着いた。


 父から報告する前に兄さんと姉さんは、お俺の判定を楽しみにしている様子だ。


 何の疑いもなく。


 しかし父からの報告でそれは終わる。


「カールの判定を報告する。闇魔法属性だった」


「えっ?」


「えっ?」

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