仮面屋敷

音夢音夢

INTRODUCTION


 仮面をつけずに生きてる人間なんて、いない。


 毎日普通に生活しているだけでも、仮面をつける機会はたくさんある。


 たとえば友達と話していて、ノリが悪いと思われたくないから、作り笑いの仮面をかぶる。

 親に対して、いい子でいないといけないから、聞き分けがいい子の仮面をつける。

 先生の前では、怒られたくないから、真面目な優等生の仮面をかぶる。

 日常生活では色んな『仮面』が使いまわされていて、その中でも愛想笑いは特に、使い道が多いと思う。


 知らない人と話すときは、どんなに嫌でも表情に出さないために。

 つまらない笑い話を聞いても、周りに合わせて笑うために。

 嫌われないように、愛想がないと思われないように、ひたすらに人目を気にして。

 他人の言葉に、敏感になって。



 仮面の下にある自分の顔が、自分でも時々分からない。

 だけど誰にも愛されない自分の素顔なんて、別に分からなくてもいいって思ってた――それがきっと正解だ。

 私のホントの顔なんて、誰に見せることもないって思ってた。

 あの日までは、ずっと。

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