第10話「本当の世界」
私は彼氏と付き合ってもう7年。
高校から付き合って今はもうお互い社会人になってしまった。
愛情表現も全くしてくれない。
私のこと本当に愛してくれているのだろうか。
「あ、ねぇ今日なに食べたい?」
「なんでもいい」
「今日何時ごろ帰ってくる?」
「知らない」
「あ、あとさ今度の休み買い物付き合ってよ」
「休みぐらい寝てたいんだけど…」
「なんなの最近うちらずっとこんな感じじゃん、最近は何もしてくれない。本当に大智の事が大事かわかんなくなっちゃった。もう無理。ばか…」
「…とりま仕事行ってくるわ」
ため息をつきながらそう言い、彼は仕事へと向かった。
仕事へ行くと大体連絡はない
帰ってくる直前ぐらいで「今から帰る」と連絡があるだけ。
付き合ってる意味あるのかな。
私だけなのかな、愛してるのは—
そんなことを一人の時に考えていると一本電話が鳴った。
「あーもしもし!私、塚田出版の森本です」
彼の職場の上司だった。
「あ、お世話になってます!どうしました?」
「落ち着いて聞いてください…大智さんが事故に遭い今病院に」
私は、衝撃で電話口の声が聞こえなくなった。
急いで教えてもらった病院へ向かったが
到着した時には大智はもうベットの上で固まり動かなかった。
冷たくなった彼に触れ私は泣きじゃくることしかできなかった。
最後まで聞けなかった。私が彼女で幸せだったか。
私のことを本当に愛していたか—
その夜。通夜が行われ私は棺に入った彼を眺めこれが現実じゃないことを願った。
「泣いてるの?」
その時、妖精のような子が私に話しかけた。
周りを見るとまるで時が止まったかのようだった。
「え、なにこれ」
「私の名前はダウ!あんたの人生のセーブ係!」
「は?」
「大智くんのこと愛してた?」
「愛してなかったらこんなに泣かないよ」
「大智くんは愛してたのかな」
「わかんない。ちゃんと言ってくれる人じゃなかったから」
「まだ一緒にいたかった?」
「当たり前じゃん」
「変われるなら変わりたい?彼と」
「出来るの…?」
「正確には…あんたが死ぬのを彼に救ってもらうチャレンジをしなきゃいけない」
「え?どう言うこと?」
みなさんこんにちは!ダウです!
第10話にして急に話が変わったかと思いましたよね?
大丈夫です!ちゃんと今までのお話の続きです!
察しの良い人はもう気づいた?
この物語の主人公は大智じゃない。
本当の二人の現実の人生はこれ
大智が事故に遭って死ぬの—
だから私は二人のセーブ係としてあるミッションを与えた。
成功したら大智が死ぬ未来を変えれる。
その代わり失敗したら…
「ダウ。ちゃんと聞かせてそのチャレンジ」
「大智くんの過去を全て変える」
「え?」
「そもそも優依と付き合わなかった世界線が彼の現実世界になる」
「それで?」
「その世界では二人は縁を切っている。だから大智にも思い出す挑戦をさせる」
「え?」
「優依ともう一度付き合いたいかを確認する。まあこの世界の記憶は一ミリもないんだけどね」
「なるほどそれで?」
「その世界で優依は事故に遭って死ぬ」
「私死んじゃうの?」
「もちろん仮でだけどね」
「どう言うこと?」
「大智にあげる時間は過去をやり直してる時間だけ。やり直す過去が現代時間に追いついたらその時点でチャレンジは終了。その間に優依あんたに大智がある言葉を言えれば2人とも死ぬことはない」
「もしその言葉を大智が言わなかったら?」
「あんたも大智も死ぬ」
「………」
「それでもあんたやるの?あいつが言うとは限んないよ」
「うんわかってる」
「大智には優依が死んだことになって優依を救うチャレンジをしてもらう」
「チャレンジ…?」
「その間に大智が優依にその言葉を伝えれればこのチャレンジは成功」
「その言葉って…?」
「大智が優依に「愛してる」って伝えること」
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