第17話
「幸君、おはようございます」
「おはよう、乃蒼さん」
隣に座ると、先ほどまで興味なさそうに話を聞いていた彼女が此方に満面の笑みでそう声を掛けてきた。
挨拶をしてくれるのは嬉しいけれど、周りの人たちの視線が痛いので微妙な気持ちになる。
はてさて、今日のテストだけれど得意教科なはずなのに少し自信がない。
それは昨日、彼女との接触でどうにも気持ちがもやもやして勉強が手につかず、中途半端になってしまったことが原因だろう。
すべてを彼女のせいにする気はないが、僕に話しかけなければお互い気持ちよく生活できていたのに。
そんなことを考えていると、いつの間にか席を立っていたのか乃蒼さんが僕の前まで来てこちらをじっと見ていた。
「乃蒼さん?どうかしましたか」
「....」
「乃蒼さん?」
「....あ、えっと。今日のテスト頑張りましょうね」
「?はい」
彼女はそう言うと隣の席に座って、何かを考え始める。
どうしたんだろか。
「佐々木、あんまり調子乗んなよ」
「分かった」
僕に絡んできた吉田を適当にあしらってから、僕も時間が許す限り勉強をすることにした。
****
私はテストを早々に終わらせ、隣に座っている幸君の事について考える。
テスト中の為、クラス中のあらゆるところから濁流のごとくその人の考えが頭の中に入ってくるが、そんなことよりも朝の幸君の事が気になりすぎて気にならない。
朝、幸君が「彼女」って言ってた。
彼女とはだれなのだろうか。
それが誰なのか気になりすぎて、どうしようもない。
彼女のせいで勉強が手につかないと言っていたが、それは幸君がその女の人の事を気になっているからなのではないだろうか。
そう考えると、胸が苦しくなってしまい痛くなる。
幸君の様子と心の内からそれは無い、はず。
でも、もしかしたらなんて考えてしまいもやもやとする。
幸君が私以外の女の人の事を考えると、嫌な気分になる。
だから、私自身も無意識のうちに幸君の前に立っていて、「彼女とは一体誰なんですか」なんて聞いてしまうところだった。
なんでここまで幸君が他の女の人の事を考えるともやもやするんだろうと考えたが、多分私は幸君の事を、男の子としてきっと気になり始めているのかもしれない。
前から薄々自分でも気づいていたから、多分、なんて言ったけれど絶対にそうだと言ってしまってもいい。
改めて、そう考えてしまうと恥ずかしいような、むずむずとした気持ちになるが今はそれどころではない。
どうやって幸君に「彼女」の事を聞こうか。
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